これからお話しする内容を意識すれば、3月解禁時点で「何もしてない側」ではなく「ちゃんと準備が終わっている側」に立てます!焦りを行動に変えましょう!
株式会社人材研究所の代表。リクルートで15年採用に携わり、採用責任者を務めた後、生命保険・不動産など複数社で人事トップを経験。
現在は企業向けの人事・採用コンサルティングを行いながら、学生向けにも就活アドバイスを発信している。
今の就活スケジュールと「出遅れ」の実態
3月解禁前に何割が動いているのか?
曽和さん:数字で見ると、夏までにインターンに参加している学生はすでに8割を超えています。12月にもインターンの山がもう一度来て、冬休みに冬インターンへ行く人もかなりいます。
曽和さん:3月1日の大手ナビサイトがオープンする前の段階で、すでに半分以上の学生はどこかしらの企業で面接を経験していますし、3〜4割は最終面接まで到達しています。さらに、3月1日時点で内定を持っている学生も30〜40%ほどいて、そのうち約25%は第一志望から内定をもらって就活を終えています。
曽和さん:ただ、これは裏を返すと「半分はまだ全然受けていない」「4人に3人はその時点でも就活を続けている」ということでもあるので、今からでも十分間に合います。大事なのは、ここから年内にどこまでベースを作れるかです。
数字だけ見ると早期に動いている人が多く見えるが、同時に「まだ面接すら受けていない層」も半分はいる。年内の数週間をどう使うかで、解禁時点のスタートラインが大きく変わる。
年内に整えたいESと志望動機の基本
ESは「事実8割・思い2割」、志望動機はまず“選社基準”から
曽和さん:エントリーシートの見られ方で一番多い落ち方は、「判断材料が足りないので上げられない」というパターンです。何千枚も読むとき、見る側が知りたいのは「どんな場面で、何を考え、何をし、どうなったか」という事実だけです。
曽和さん:一方で、多くのESは「私はどんな困難にも負けません」「最後まで諦めない人間です」といった抽象的な思いやスローガンが文章の半分以上を占めていて、具体的なエピソードや数字がほとんど書かれていません。そうなると内容が良い悪い以前に、情報量不足で落ちてしまいます。
曽和さん:目安としては、事実(具体的な行動・数字・状況)を7〜8割、そこからの学びや自分の考えなど“思い”は2〜3割にとどめるくらいがちょうどいいです。読む側は「この人を判断できる材料」を欲しがっているので、まずはそこを埋めてください。
曽和さん:志望動機については、冬〜早期選考の段階では企業側も「そこまで濃くなくて当然」と思っています。まだ学生も迷っている時期なので、「なぜ御社だけなのか」を完璧に言えなくて当たり前です。
曽和さん:この時期は、無理に“御社ラブ”を書くよりも、「自分が会社や仕事を選ぶときに大事にしている基準(選社基準)」を書く方が自然です。例えば「社会にこう貢献できる仕事が良い」「こういう雰囲気の組織で働きたい」といった一般的な価値観をまず書き、それが貴社に当てはまると感じたので応募しました──くらいで問題ありません。
曽和さん:たまに「それだと他社でも良くない?」と意地悪に突っ込んでくる面接官もいますが、そのときは「確かに他にも当てはまりそうな企業はあると思いますが、今のところ調べた中では御社が一番その基準に近いと感じています」と素直に返せば十分です。
ESは「どこで・何を・どう考えて・どう動き・どうなったか」の事実をまず埋める。早期の志望動機は“選社基準”ベースで書き、本気度を高めるのは企業研究が進む本選考フェーズでよい。
面接と自己分析:まず「他人から見た自分」を知る
自己分析=自分の知らない自分を減らす作業
曽和さん:面接に自信がない人ほど、今のうちにどんどん面接を受けた方がいいです。面接はほぼ「慣れ」で、場数を踏めば踏むほど、その場で考えて話す力がついてきます。志望度が低めの企業でも、本命前の練習の場として受ける価値は十分にあります。
曽和さん:そのうえで、面接の前提として大事なのが自己分析です。ただし自己分析とは「自分で自分を眺めて言語化すること」だけではありません。本質的には、自分が気づいていない自分を減らしていく作業です。
曽和さん:例えば友人に「君って天然だよね」と言われても、自分では全然そう思っていない、というギャップがありますよね。この「自分の認識」と「他人からの見え方」のズレこそが重要で、ここを知らないと第一印象で誤解されたまま評価されてしまいます。
曽和さん:だからこそ、友人・先輩・親・先生・キャリアセンターなど、複数の人に自分の印象や特徴を正直にフィードバックしてもらうことが大切です。「こう見られがちだけど、本当はこうなんです」と自分から補足できるようになると、面接での誤解をかなり減らせます。
自己分析は「自分でノートに書く作業」だけではなく、「他人から見た自分」を集めてギャップを知ることが本質。面接は慣れが9割なので、本命前に“たくさん落ちてもいい面接”を経験しておくと大きな武器になる。
グループディスカッションで見られているもの
役割より「自己認知」とチームでの振る舞い方
曽和さん:グループディスカッションの目的は、大きく二つあります。一つはコンサル等に多い「議論の進め方や論理性、アイデア力そのものを見るタイプ」。もう一つが、より一般的な「チームで仕事をするときの役割や振る舞い方を見るタイプ」です。
曽和さん:後者の場合、実は“どの役割をやるか”自体には正解はありません。タイムキーパーでもファシリでも書記でも、役割そのものではなく「自分の特性を理解したうえで、無理のないポジションを選び、チームにどう貢献するか」が見られています。
曽和さん:自己認知が低い人ほど、本来得意でない役割に無理して手を挙げてぎこちなくなったり、場をかき乱してしまったりします。採用側からすると「自分の強み・弱みが分かっていない人は、成長もしづらく、チーム内での役割分担もミスマッチになりやすい」という懸念が生まれます。
曽和さん:議論中に「自分よりこの役割が向いていそうな人がいる」と思ったら、素直に譲って自分は少し引いて意見を出す側に回る、といった動き方もむしろプラス評価です。空気を乱すより、チーム全体のバランスを整えようとする人の方が好まれます。
曽和さん:いわゆるクラッシャー的な人が場をかき回しているときも、同じ土俵で怒ったり、真正面からぶつかると“喧嘩両成敗”になりがちです。相手の意見自体は尊重しつつ「そろそろ本題に戻りませんか」「今の論点を一度整理してもいいですか」と穏やかに収束に持っていく方が、採用側から見て安心感があります。
GDで評価されるのは「完璧な役割」ではなく、「自分の特性を理解したうえで、チームにとって最適なポジションを柔軟に取れているか」。クラッシャーと戦うより、場を整え直す視点を持つ方が評価につながる。
Webテストと年内の優先順位
SPI・玉手箱は“慣れゲー”、年内は基礎固めのラストチャンス
曽和さん:Webテスト(SPI・玉手箱など)は、企業側が以前よりも「足切りツール」としてシビアに使うようになってきています。今までなら半分通っていたラインを3分の1、10分の1まで絞る企業も出てきています。
曽和さん:内容としては性格検査は対策不要ですが、言語・非言語(数学・国語的な問題)は、参考書を使ってパターンに慣れておくことが非常に重要です。テスト会社は「何回受けても点数は変わらない」と言いますが、実務の感覚からすると回数を重ねるほど点数は上がることが多いです。
曽和さん:実際、企業側も「この人をどうしても取りたい」と判断した場合、SPIを複数回受けさせて高いスコアが出るまで受けてもらう、という運用をしているケースもあります。そのくらい“慣れ”がスコアに影響する部分があるということです。
曽和さん:年内の優先順位としては、まずES(ガクチカ・自己PR・挫折経験)を一通り書ききること、その後にWebテストの基礎問題集を一冊やり込んでおくこと。この二つを終えていれば、年明けからの本選考ラッシュに対して「書類で落ちる」「テストで落ちる」という足切りリスクをかなり減らせます。
Webテストは“才能”ではなく“慣れ”で伸びる部分が大きい。年内にESのベースとSPI/玉手箱の基礎を一周しておくことで、年明け以降は「面接と企業研究」に集中できる状態を作れる。
まとめ
エントリーシートでは事実を7〜8割書き、志望動機はまず“選社基準”から始める。自己分析では他人からのフィードバックを集め、自分の見られ方とギャップを知る。グループディスカッションでは役割より自己認知とチームへの貢献を重視し、Webテストは年内に一度は基礎を固めておく。
この4つを今年中に押さえられれば、3月1日を「不安なスタート」ではなく「準備が整った状態」で迎えられます。焦りを責めるのではなく、「ここからやれること」に一つずつ手をつけていきましょう。
