「志望動機を話すと、どうしても嘘っぽくなってしまう」——就活生なら誰もが一度はぶつかる壁です。ロジックで固めすぎた志望動機は、面接官の目には"作り物"に映ります。では、どうすれば人の心を動かす志望動機になるのか。
今回の題材は、元SMBC(三井住友銀行)行員で、現在はモデル・インフルエンサーとして活躍する佐野麗奈さんが、当時SMBCに合格した本物の面接を完全再現してくれた回です。採点役は、就活本のベストセラー『確実内定』著者のトイアンナさん。銀行・証券・保険を併願し、外資も視野に入れた就活を戦い抜いた佐野さんの受け答えは、金融志望だけでなく、大手・日系企業を狙う就活生全員に効く教材になっています。
動画の中でトイさんが放ったキーワードは「物語思考」。面接で99%の就活生ができていない、志望動機の最上位テクニックです。本記事では、模擬面接の流れ→トイさんの詳細フィードバックを時系列で追いながら、志望動機・ガクチカ・強み弱みをすべて"一本の物語"として繋げるための具体的な型を、27卒・28卒向けに完全分解します。
動画で語られた面接の全体像(27分の要約)
動画の構成はシンプルで、前半10分が模擬面接の完全再現、後半10分がトイさんによる面接フィードバック、そして最後5分で「麗奈さんに本当に向いている業界は?」まで踏み込んだキャリア相談になっています。佐野さんはこの面接を経て新卒でSMBCに入行し、リテールマーケティング部で活躍したのち、9ヶ月で退職してモデル・インフルエンサーへ転身したという経歴の持ち主。メガバンクに「受かる人」のリアルを、入った人自身が見せてくれる貴重な回です。
面接の設計は、ガクチカ→強み・弱み→業界志望理由→企業志望理由→入社後にやりたいこと→最後に一言、という超王道の流れ。テンプレートどおりの質問順でありながら、答える内容次第でここまで差がつくのかと思わされる、面接対策の教材としては珍しく再現性の高い1本です。
「内気を変えたい」から始まるガクチカの作り方
面接で最初に聞かれたのは、学生時代に頑張ったこと。佐野さんのガクチカは全国ミスコンで実質3位(審査員特別賞)というキラキラした素材でしたが、トイさんが本当に評価した本質は別にあります。それは「なぜミスコンに挑戦したのか」のWHYがはっきりしていたこと。
ミスコンの勝負どころだったのが配信審査。すでにミクチャで土台ができていた参加者が上位にいる中、佐野さんは配信ゼロからのスタートでした。投げ銭ポイントがランクに反映され、グランプリ審査の30%を占めるという仕組みの中で、佐野さんが取った行動は「他の配信者を1日1時間以上分析する」という地味な努力でした。
ポイントが伸びている配信者と伸びていない配信者の差を言語化し、「好きじゃない人を好きにさせる能力」にまで着眼して実践に落とし込んでいきます。結果、ゼロスタートから実質3位まで駆け上がりました。
このエピソードが銀行志望と綺麗に重なるのは、「1人1人に向き合う」が銀行リテール営業でそのまま使える再現性のあるスキルだからです。ガクチカは"成果の大きさ"ではなく、仕事で再現できる能力が読み取れるかどうかが合否を分けます。
📌 ガクチカで面接官に刺さる3要素
挑戦のWHY:「内気を変えたい」のような、自分の弱さから出発する動機が最も自然で説得力がある
課題を分析する行動:配信ゼロ→1日1時間の競合分析→言語化→実践、の具体性が信頼に変わる
学びの再現性:「1人1人に向き合う」はリテール営業でそのまま使える=志望職種と接続できる
強みと弱みは"表裏一体"で答える型を覚えよう
面接中盤の山場、強みと弱みの質問。佐野さんの回答は、就活生が真似するべきテンプレートになっています。強みは「軸を持っていること」、そしてその弱みは「頑固なところ」——この"裏返しの構造"を覚えておくだけで、受け答えが一気に整います。
この回答の何が上手いかを分解します。まず①強みと弱みが同じ性質から説明されている。軸があるからこそ頑固、という論理的な整合性は、それ単体で自己認識の深さを示します。次に②弱みに「入社後の改善プラン」が添えられている。単なる頑固自慢で終わらず、譲れるライン/譲れないラインを自分で設計する、というアクションプランまで語られている点が、成長意欲の証明になっています。
ちなみにトイさんは最終フィードバックで、この「譲らない強さ」こそリテール営業で活きると評価しました。穏やかな話し方と、譲れないときに譲らない意志の両立は、お客様の言いなりにならずに投資商品を提案できる理想の営業スタイル——これこそSMBCが佐野さんを採用した核心だったのです。
志望動機の核心:金融→銀行→SMBCの"絞り込み3段ロケット"
ここが本動画のハイライトです。佐野さんの志望動機は、抽象から具体へ3段階で解像度を上げる構造になっていました。面接官が「なぜ業界?」「なぜその中で?」「なぜ当社?」と掘り下げてくるとき、就活生の多くは2段目で詰まります。佐野さんの回答は、3段目まで緻密に繋がっていました。
📌 志望動機の3段ロケット
①業界選びの軸:金融=無形商材×自分が商品になる仕事。モデル活動は"身一つで戦う"点でメカニズムが同じだから、自分の強みを向ける先として自然
②業界内での絞り込み:銀行は"お客様ファースト"。商社のような「自社ファースト」と真逆で、ファンありきで活動してきた自分の価値観と合う
③企業選び:SMBCはリクルーター制度で計10名の行員と面談してくれた唯一の会社。入社後も人を大切にしてくれる確信があった
ここで特筆すべきは、「10回リクルーターに会った」ではなく「10人の行員に会った」と言い切っているところです。同じ人に10回会うのと、部署の違う10人に会うのでは、語れる粒度が桁違いに変わります。「リテールマーケティング部」「法人営業」「海外駐在経験のある先輩」など、面談で実際に聞いた部署名がそのまま入社後志望に反映されていました。
面接で数字を出すときは、「何回」より「誰に」の広さを示すのがコツです。「OB訪問10回」と「10部署の人にお話を聞きました」では、後者の方が圧倒的に情報設計が上手く見えます。
トイさんが絶賛した「物語思考」——嘘っぽくない志望動機の作り方
フィードバック冒頭、トイさんがホワイトボードに書いたキーワードが「物語思考」。これが今回の動画で最も持ち帰るべきノウハウです。
もう一つのトイさんの鋭い指摘が、「人で選びました」だけだと逆に嘘臭くなるというパラドックスです。「あの人が良かったので御社を志望しました」は、「じゃあその人が辞めたら御社も辞めるの?」という疑念を面接官に抱かせてしまいます。
佐野さんはここを見事にクリアしていました。「リクルーターさんが素敵だった」ではなく、「SMBCという会社が設計した"人材と触れ合う仕組み"に惹かれた」と、個人の話を制度・文化レベルに昇華させています。これが"人で選んだ"という志望動機を嘘臭くしない最大のコツです。
📌 物語思考の志望動機テンプレ
出会い:「最初に接点を持ったのは〇〇のイベントで…」という具体的な場面描写から始める
好きになった瞬間:「△△さんのこの一言にハッとしました」という感情の動きを言語化する
制度・文化への昇華:「その良さは、御社が◆◆という制度でつくっている文化そのものだと気づきました」
入社後の物語:「だから私もこの仕組みの一部になりたい」という未来への接続
この順番で語れば、志望動機は物語として面接官の記憶に残ります。エントリーシートに書いた論理は面接で"繰り返さない"のが正解。ESはロジックの証明、面接は物語の上演、という場面に応じた使い分けを意識しましょう。
「小学校時代→海外留学→ミスコン→リテール部」が一本の物語になる
トイさんのフィードバックで最も鋭かったのが、佐野さんのエピソードが時系列で全て繋がっているという指摘でした。
📌 佐野さんの人生物語タイムライン
小学校時代:打ち解けない、内気な自分を変えたい
中学・高校:親に直談判して計6カ国(ドイツ・ポーランド等)へ留学。一人で壁を乗り越えた
大学:全国ミスコンで実質3位。表に出る経験で自己効力感を獲得
就職:SMBCリテールマーケティング部志望+グローバル人材志望
つまり、志望動機は単独では完成しないということです。ガクチカ・強み・これまでの人生・入社後にやりたいことが1本の線で繋がって初めて、面接官に「この人は嘘をついていない」と感じさせられます。面接対策=エピソードをどう選び、どう並べるかの設計である、と捉えるのが正解です。
就活生がよくやる失敗は、ガクチカと志望動機をそれぞれ別々に最適化してしまうこと。結果、1問ずつは綺麗なのに、面接全体を通すと違和感のある"別人像"が浮かび上がります。面接の準備は「回答集を作る」ではなく「自分の人生タイムラインを作る」ところから始めましょう。
注意点:協調性エピソードが弱いと日系企業で苦戦する
完璧に見える佐野さんの面接ですが、トイさんは一点だけ課題を指摘しています。それは「協調性を示すエピソードが弱い」こと。ミスコン・留学・モデル活動と、個人で突き抜けた経験ばかりで、チームでの振る舞いが見えづらい構成になっていました。
トイさんいわく、SMBCの面接では意図的に「チームワークありますか?」と聞いてくれたそうで、そこで守備範囲の広いエピソードが用意できていれば加点に転じます。「どの会社にも通用する万能エピソード1本」ではなく、「会社タイプ別に3〜4本のエピソードストック」を持っておくのが、内定率を最大化する準備の仕方です。
📌 企業タイプ別エピソードの使い分け
日系大手・メガバンク:協調性・組織での役割・チームでの成果のエピソードを必ず1本用意する
外資・実力主義:個人で突き抜けた成果・リーダーシップを前面に出す
ベンチャー:自走力・課題発見から実行までを1人でやり切ったエピソード
併願する場合:同じガクチカでも、切り取る角度を会社タイプごとに変える
この面接から27卒・28卒が盗むべき5つの技
最後に、佐野さんの面接からそのまま使える実践テクニックを5つにまとめます。明日からの面接・リクルーター面談で、どれか1つだけでも意識すると手応えが変わるはずです。
📌 明日の面接から使える5つの技
①ガクチカはWHYから語る:「内気を変えたかった」のような自分の弱さから出発する動機は最強。成果の大きさより動機の純度で勝負する
②強みと弱みは表裏一体で設計する:「軸があるからこそ頑固」のような論理的整合性を作り、弱みには必ず改善プランを添える
③志望動機は抽象→具体の3段ロケット:業界の軸→業界内での選択→企業選択、の3段階で解像度を上げる
④「人で選んだ」は制度レベルに翻訳する:リクルーターさん個人→人を大切にする制度→会社の文化、と階段を上がる
⑤エピソードは時系列で一本の物語にする:小学校時代→留学→ガクチカ→入社後、が線で繋がるように設計する
まとめ:志望動機は「物語」にすれば嘘っぽくならない
佐野さんの模擬面接から学べる最大の教訓は、「志望動機は単独の文章ではなく、人生という物語の一節である」ということ。ロジックだけで武装した志望動機は、面接官には嘘っぽく映ります。逆に、ガクチカ・強み・人生の選択・入社後の夢が1本の線で繋がっていれば、語り口が多少不器用でも説得力が生まれます。
「物語思考で志望動機を作りたいけど、自分ひとりだと客観視できない」という方は、プロと一緒に壁打ちするのが最短です。しゅんダイアリーの就活無料相談では、佐野さん同様に"物語として繋がる志望動機"の設計を伴走します。27卒・28卒ともに、金融・大手志望の方を年間1,000人以上支援してきた実績があるので、ぜひ気軽に活用してみてください。
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