今回はオープンワーク代表の大澤さんに、企業側の“本音の設計図”を聞き出し、面接を「怖い場」から「準備できる勝負の場」に変えるヒントをもらいました。
オープンワーク代表取締役。日本最大級の社員口コミプラットフォームを運営しています。
前職では大手企業の新卒採用で、面接の評価項目や質問設計を作る仕事もしていて、今も自社の最終面接を担当しています。
面接の目的は「入社後活躍するか」を測ること
そもそも面接って、企業側は何のためにやっているんですか?
大澤さん:目的はシンプルに一つで、「入社後活躍してくれるかどうか」を見極めるためです。もっと言うと、学生と企業の相性を見る場ですね。
大澤さん:ここを分かっていないと「とりあえず志望動機とガクチカ用意しておけばいいか」となってしまって、準備がズレてしまう。
面接は「人柄チェック」ではなく、あくまで「入社後活躍するか×会社との相性」を短時間で測る場。そのために志望動機とガクチカが使われている。
面接官が使う“水平質問×垂直質問”という見抜き方
面接で使われる見極め質問とは?
大澤さん:よく出るのは「志望動機」と「学生時代に力を入れたこと」ですよね。この2つを起点に、面接官は“水平質問”と“垂直質問”でその人を立体的に見ていきます。
大澤さん:水平は“横”に広げる質問。大学だけじゃなく、高校・中学・小学校までさかのぼって、「学内」と「学外」でどんなことをしてきたかを聞いていくイメージです。大学の学内学外、高校の学内学外…とマトリックスで見ると、その人の人生が立体的に見えてくる。
面接官は、大学の1エピソードだけではなく「大学〜小学校×学内・学外」の“横軸”でその人を見ている。最低8つのエピソードを用意しておくと、どこを聞かれても立体的に自分を語れる。
深掘りで浅さがバレる?SCALEフレームで話を組み立てる
垂直質問とは?
大澤さん:垂直は“一つのエピソードをどんどん深掘る”質問です。その時によく使われるのが「SCALE」というフレームです。Situation(状況)、Cast(役割)、Action(行動)、Last(結果)、Epilogue(学び・今への活かし方)の頭文字ですね。
大澤さん:例えばガクチカを話したときに、面接官は「それって具体的にどんな状況だった?」「その中であなたはどんな役割だった?」「実際どんな行動をした?」「結果はどうなった?」「その経験から何を学んで今どう活かしてる?」と順番に聞いていきます。ここで中身が薄いと、一気にバレます。
面接官はSCALE(状況・役割・行動・結果・学び)で深掘りし、「どれだけ本気で向き合ったか」「どんな思考で動いたか」を見ている。数字よりも、深掘りに耐えられる“本物のエピソード”を用意しておくことが重要。
「挫折・失敗」を話せる人は、むしろプラス評価
逆に浅く見える話し方とかってありますか?
大澤さん:一番もったいないのは、“都合のいい成功話だけ”を出してくるパターンです。面接側には実は、「熱中体験・成功体験・挫折体験・失敗体験を聞きなさい」というガイドラインがあることが多くて、挫折や失敗が語れないと「守りに入っているな」「本質が見えないな」と思われがちなんです。
大澤さん:「どれくらい本気でやったから失敗したのか」「そこから何を学んで、どう改善したのか」を知りたいんです。だから、失敗や挫折を安全に見せないのはもったいない。SCALEの最後のE(エピローグ)が一番人柄の深さを出せるところなので、ここで“自分なりの学びと変化”を語れる人は強いです。
企業は「失敗・挫折そのもの」ではなく、「どれだけ本気で挑戦した結果なのか」「そこから何を学んでどう変わったか」を見ている。成功だけでなく、挫折や失敗をセットで語れる人の方が“人間としての厚み”を評価されやすい。
評価軸と「相性」——最終面接はほぼ“この人と働きたいか”
具体的にどういう軸で評価をつけている?
大澤さん:会社によりますが、多くの大手企業は3〜5つの採用要件を設定しています。たとえば「地頭」「気骨心」「コミュニケーション力」など。一次面接ではこのうち2つ、二次では別の2つ…というように、面接ごとに見るポイントを変えていますね。
大澤さん:特に大手は応募者が多いので、「これは合わない」と感じる×が1つでもあると落ちる確率が高い。だから、ポイントは「全部○にする」より、「致命的な×をもらわない」ことです。
大澤さん:ただ、最終面接はちょっと違っていて、正直ほぼ“相性”です。現場の責任者や経営陣が出てくるので、「この人と一緒に働きたいか」「自分の組織に入ってきたらしっくりくるか」をかなり直感的に見ています。ここで細かい評価シートを見ている会社は少ないと思います。
一次・二次では「採用要件の×をもらわない」ことが重要。最終面接は評価表というより“相性”勝負なので、テクニックよりも「素の自分+会社への解像度」で臨むのが近道。
対人力の2つの軸
よく言われる「人間力が大事」とは?
大澤さん:多くの場合は「対人力」を指していることが多いです。ざっくり分けると2種類あって、一つは“攻めの対人力”、もう一つは“受けの対人力”。
大澤さん:攻めは、主張する力・説得する力・交渉する力など、自分の意見や価値を相手に届ける力。よく“男性的コミュニケーション”と言われるタイプですね。一方、受けは傾聴する力・支援する力・共感してニーズを引き出す力。“女性的コミュニケーション”と言われるタイプです。
「人間力=対人力」は、①相手の話を聞き受け止める力(傾聴・支援)と、②自分の考えを主張・説得する力のバランスで見られる。就活では、両方の側面が伝わるエピソードを準備しておくと評価されやすい。
「内定一社」は最強の“お墨付き”になる
「こういう学生は取りたくなる」という決め手は?
大澤さん:本音を言うと、「すでにどこかから内定をもらっている学生」です。人事目線でいうと、他社が一度「この人は採りたい」と認めているので、「一定以上のポテンシャルがある」と保証されている状態なんですよね。
他社の内定は“第三者からの品質保証”。中小やベンチャーも含めてまず一社内定を取り、その上で本命の大手に挑むのは、メンタル面でも評価面でも有利に働く。
まとめ
ガクチカは「数字の派手さ」よりも、SCALEで深掘りされたときに本気度と学びが伝わる“本物のエピソード”を用意するのが重要。 挫折・失敗はネガティブ要素ではなく、「どれだけ本気で挑戦したか」「そこからどう変わったか」を示すプラス材料になる。
最終面接は評価表ではなく“相性勝負”。テクニックよりも「素の自分+会社・事業への理解」で臨むことがカギ。 「人間力=対人力」は、相手を受け止める力+自分を主張する力の両方で評価される。 まず一社内定をもらっておくことは、企業から見た“安心材料”になり、本命企業への挑戦を有利にする。
