この記事では、「日本の投票率をどう上げるか?」というテーマで、たむらさん・須藤さん・神谷さん・しゅん・セカニチさんの5人が実際に行ったグループディスカッションの内容をもとに、議論の流れを5つのトピックに整理しています。
会話形式で追いながら、就活のGDで使える“考え方のパターン”も一緒に学べる構成になっているので、選挙もGDもなんとなく苦手…という人ほど、気楽に読んでみてください。
東京大学経済学部経済学科4年
東京大学大学院修士1年で、生物学を専攻している
東京大学理学系研究科で物理学を専攻している
トピック①:評価ポイントの確認
面接官は何を見ている?
しゅん:どうもしゅんです、こんにちは。今日は「東大生グループディスカッション企画」ということで、3人に来てもらいました。よろしくお願いします。
セカニチさん:今回、面接官としてファシリっぽく見させていただきます。よろしくお願いします。
しゅん:じゃあ最初に、グループディスカッションでどこを見ているのか、セカニチさんから簡単に教えてもらってもいいですか?
セカニチさん:はい。GDはアイデア勝負大会じゃなくて、「過程」を評価します。現状と、こうなったらいいという目標がありますよね。その間のギャップの原因をきちんと分析して、その原因に対して論理的にアプローチできているか。あとは、その論理性に向かってチームで協力できているか、というところを見ています。
しゅん:ありがとうございます。じゃあ今日のテーマを発表します。「日本の投票率をどう上げるか」。今、大体50%くらいと言われている投票率を、1.5倍の75%にしたい。予算は100億円くらい、期間は次の衆議院選挙までの2年以内。この前提で考えてください。
このトピックでは、まずゲスト3人の「どんなバックグラウンドか」が明確になり、そのうえでGDの評価軸が共有されています。GDでは【アイデアの派手さよりも、現状→原因→打ち手のロジック】が重視される、という前提を早めに押さえたのがポイントです。また、目標値(50%→75%)、予算(100億円)、期限(2年以内)といった条件がはっきりしていることで、後の議論が「なんとなく良さそう」ではなく、現実的な範囲で考えやすくなっています。
トピック②:投票率が低い理由の整理(現状把握)
現状整理の仕方とは?
しゅん:じゃあ20分スタートです。まず役割決めましょうか。タイムキーパーと書記と…ファシリはどうします?
たむらさん:じゃあ、私がちょっとファシリテーターやってみます。
須藤さん:じゃあ書記やります。タイムキーパーは僕が時計見ながらやりますね。
たむらさん:ありがとうございます。じゃあ最初に、課題とか前提を整理したいんですけど、今の日本の投票率が低い理由って、何があると思いますか?
須藤さん:個人的には「投票したところで効果が薄い」というか、自分の一票で何が変わるかイメージできないのと、あと単純に「投票に行くのがだるい」。この2つですね。
神谷さん:私も似ていて、「自分が政治に参加している」っていう実感がすごく薄いから、行っても意味ないなって思っちゃう。あと、みんなで「行こうよ」って空気もあまりないですよね。
たむらさん:確かに、特に若者の意識は低いですよね。
須藤さん:前提知識が足りなくて、「誰に入れればいいのか分からない」っていうのも大きい気がします。もし一票が大事なら、知識ないまま適当に入れるのは逆に怖い、って思う人もいそうで。
神谷さん:実際私も投票してなくて…。もっとYouTubeとかSNSで、分かりやすく説明してくれたら、ちょっとハードル下がるのになって思います。
たむらさん:今の話まとめると、「めんどくさい」と「知識が足りない、興味が持てない」が大きな理由って感じですかね。
ここでは、いきなり「施策」を出すのではなく、まず「なぜ投票率が低いのか」を言語化できているのが大事なポイントです。若者目線で、行くのがめんどくさい一票の影響が分からない情報が難しくて、誰に投票すればいいか分からない投票を促す空気がない
といった「行かない理由」が整理されています。就活GDでも、最初に【現状・課題を具体的に出す】ことで、その後のアイデアがブレにくくなります。
トピック③:ターゲット設定と具体策のアイデア出し
活発な議論にするためには?
たむらさん:投票率を1.5倍にするって考えたときに、どの層をターゲットにするかも決めた方が良さそうですよね。
須藤さん:そうですね。今の投票率の残りの45%って、たぶん若い世代が多いですよね。高齢者は結構行ってそうなイメージ。
神谷さん:実際、政党の演説もおじいちゃんおばあちゃんばかりで、若者はあんまり立ち止まってないですもんね。
たむらさん:じゃあ、ターゲットは「若者」に絞るってことでいいですか?
全員:はい。
須藤さん:それを踏まえると、僕は「スマホで投票」が一番だと思います。オンライン投票ですね。
神谷さん:確かに。若者はスマホで全部済ませてるから、現場で演説聞いたり会場行ったりっていうのは、結構ハードル高いですよね。
須藤さん:あとは、ワクチンのときのクーポンみたいに、「選挙に行った証明」があると地域のクーポン券や割引券がもらえる、とかもありかなと。自分のメリットがあれば参加する人は増えそうです。
たむらさん:義務化も一つの案ですよね。オーストラリアとか、行かないと罰則がある国もありますし。
神谷さん:確かに義務化したら上がるのは間違いないですけど、「自由参加であること」が日本では大きい気もしますね。
このトピックでは、ターゲットを「若者」に絞るという方針が固まっています。誰に対しての施策なのかを決めることで、オンライン投票やクーポンなど、「若者の行動パターン」に合ったアイデアが出てきています。また、ワクチン接種のクーポン施策など、過去の事例をヒントにしているのも良いポイントです。GDでは、【ターゲット設定→その人の行動に合う施策】という流れを意識できると、一気に説得力が増します。
トピック④:オンライン投票・クーポンの課題と実現可能性
意見を発展させていく
たむらさん:アイデアはだいぶ出たので、ここからは「どれが一番効果ありそうか」と「実現しやすさ」を見ていきたいです。
須藤さん:オンライン投票は手軽さのインパクトがかなり大きいと思います。若者のほとんどはスマホ持ってますし。
神谷さん:ただ、「なんでまだオンラインになってないのか」は考えた方がいいですよね。投票の原則で、匿名性とか独立性とかありましたよね。
たむらさん:オンラインだと、例えば周りに人がいる状態で「ここで投票しろ」って強制されたりとか、スマホ何台も使って不正投票されたりとか、その辺のリスクはありそうです。
須藤さん:マイナンバーと紐づけたら一人一票は守れそうですけど、今度は匿名性がなくなる問題が出てきますね。
たむらさん:そこを解決するには、法律を変えて、「国が情報を漏らさないことを前提にOKにする」みたいな整理が必要かもしれないです。
須藤さん:クーポンの方は、コスト的にはどうですかね。予算100億円だとしたら、75%で1億人が投票したとして、1人100円くらいのイメージ。
神谷さん:100円でも、お店側が「うちで使えます」って参加してくれたら、地域の経済効果も出そうですよね。
たむらさん:じゃあ、インパクトと実現可能性で1〜5点つけるとすると、オンラインはインパクト4、実現可能性5くらい? クーポンはすぐ実行できるけど、政党にとってメリットが薄いから、そこがネックかな。
ここでは、「なぜまだ実行されていないのか」「どんなデメリットがあるのか」という視点で深掘りを始めているのが大切です。オンライン投票は手軽さという大きなメリットがある一方で、匿名性・独立性・不正防止といった選挙の原則との両立が課題になります。また、クーポン施策はコスト計算や、政党・高齢者層にとってのメリットの薄さが論点になっています。就活のGDでは、アイデアを出すだけでなく、【インパクト × 実現可能性】で優先順位をつける姿勢が評価されます。
トピック⑤:発表内容の整理とセカニチさんからのフィードバック
発表でGDを締めくくろう
しゅん:そろそろ時間なので、発表用にまとめましょうか。誰か発表やってくれる人いますか?
たむらさん:もしよければ、私やりますよ。
しゅん:ありがとうございます。じゃあ、前提と現状、それから選んだ施策の理由って流れで話してもらえれば。
たむらさん:私たちは、投票率を上げる方法として「オンライン併用投票」と「クーポン」の2つを提案しました。低投票率の原因は、特に若者の投票率が低いことにあると考え、ターゲットを若者に絞りました。現状の問題点は「投票に行くのが面倒なこと」と「一票が小さくて当事者意識が持ちにくいこと」の2点です。これを解決するために、オンライン併用で手軽さを高め、クーポンで投票へのモチベーションを上げることを狙いました。オンラインがまだ導入されていない理由としては、選挙の匿名性や、周囲からの強制が起こり得るなどの懸念があると考えました。クーポンについては、高齢者など、今の支持層にとってメリットが少ないため、政党側のモチベーションが低い点が理由だと考えました。以上です。
セカニチさん:ありがとうございます。まず、コミュニケーションという意味では3人ともすごく良かったです。ただ、全体としては話があちこちに広がってしまって、誰かが「ターゲットをもっと明確にしよう」「論点を絞ろう」と収束させてほしかったなと思いました。
セカニチさん:致命的だったのは、「なぜ現状それが行われていないのか」という前提を話したあとに、その施策を導入したときのデメリットまで踏み込めていなかったことです。オンライン化で法律を変えるなら、そのことで起きるリスクや悪い面まで整理してほしかった。メリットだけを見て終わってしまっているのが、視野が狭く見えるポイントでした。
セカニチさん:ターゲットも、途中で「若者」と出てきたのはいいんですが、最初から決めておくと議論がもっと締まったと思います。「若者って何歳くらいまでを指すのか」まで詰められると、さらに良かったですね。
最後のトピックでは、発表内容の全体像がまとまり、そのうえでセカニチさんから「就活GD的な改善ポイント」がフィードバックされています。良かった点は、コミュニケーションの雰囲気や、ターゲットを途中で意識できたこと。一方で、議論が広がりすぎたのを収束する役割がいなかった施策の「なぜ現状やっていないのか」「導入したときのデメリット」に十分踏み込めていない。ターゲットの定義(若者=何歳くらい)があいまい。といった点が課題として挙がりました。就活のGDでは、「なぜ?」と一段深く考えることと、「ここで一回整理しましょう」と流れをまとめる役割ができると、評価が一気に上がります。
✓まずは「誰に対しての施策か(ターゲット)」を最初に決めると、議論がブレにくくなる
✓現状の課題を、参加者のリアルな感覚で言語化すると、打ち手が出しやすくなる
✓アイデアは、メリットだけでなく「なぜ今やっていないのか」「どんなデメリットがあるか」までセットで考える
✓施策を比べるときは、「インパクト × 実現可能性」で優先順位をつけるとロジカルに見える
✓議論が広がってきたら、「一度整理しますね」と収束させる人がいると、チームとしての評価が上がる
