オンラインGDでは、対面よりも「伝わっているか」「誰がいつ話すか」が分かりづらくなります。
そのぶん、時間配分や発言の順番を意識して、プレゼン形式でボールを渡すことが重要になります。
人材研究所の人事コンサルタント。新卒採用でGD設計や評価を担当し、今も面接官として学生のコミュニケーションと協働の力を見ている。
オンラインGDで企業が見ているのはどこ?
オンラインGDで人事が一番見ているポイントは?
安藤さん:まず「面接では見えにくい部分」を見たいと思っています。
安藤さん:特に、年が近い学生同士で話したときのコミュニケーション力ですね。相手の話をきちんと聞けるか、言うべきタイミングで発言できるか、議論が行き詰まったときや脱線したときに場を立て直そうとできるか、といった点を観察しています。
オンラインGDは「正解のアイデア勝負」ではなく、同世代同士で協力しながら議論を進める力のチェック。
相手の話をさえぎらずに聞き、詰まったら整理して次のステップを提案できるか、場がズレたときにテーマに戻す一言が言えるかが、評価の中心になります。
時間配分と前提整理の設計
GD冒頭の時間配分や前提決めはどう進めると良い?
安藤さん:最初に「ざっくりした設計」を置いておくのがおすすめです。
安藤さん:例えば20分なら、前提整理に少し厚めに時間を割り、そのあとアイデア出し・収束・発表準備という4ブロックに分けると進行しやすくなります。
このGDでは、「前提→発散→課題整理→施策→発表」という流れをざっくり時間に落としていたのはとても良かったです。
ただし、途中で前提に戻ったり、定義が追加で出てくると時間が足りなくなるので、「前提で話す論点」を最初にリストアップしてから固めてしまうと、後半の迷走を防げます。
オンラインだと誰が仕切るか見えづらいので、最初にファシリが「前提で決める項目」と「各フェーズの時間」を口に出して合意を取るのが効果的です。
プレゼン型でボールを渡すのがオンラインGDの基本
オンラインGD特有の話し方のコツは?
安藤さん:オンラインだと、対面より「誰が次に話すか」が分かりづらくて、会話がぶつかりやすくなります。
安藤さん:なので、キャッチボールというより「ミニプレゼン」と「誰々さんいかがですか?」というボールの渡し方を意識すると良いです。
オンラインでは、短く意見をまとめて「自分はこう思います。理由は〇〇です。△△さんはどう思いますか?」までセットで話すと、議論が止まりづらくなります。
逆に「どう思いますか?」だけ投げると沈黙が生まれがち。発言ストロークを意識して、「言う→理由→メリット・デメリット→指名」の型で話すと、それだけで“進行が上手い人”として評価されやすくなります。
「発散」と「収束」の切り替えができているか
良いアイデアが出ても、最後のまとめが甘くなりやすい原因は?
安藤さん:このGDでもそうでしたが、アイデア出しはそれなりにできているのに、「どれを採用するか」を決める時間と基準が不足しがちです。
安藤さん:最後に「時間がないからこの案で行きますか」となると、メリット・デメリットを検証した上でのベスト案になっていないので、議論の質としては弱く見えます。
「コンビニでバイトしたくなる施策」というお題では、途中まで“食費を抑えられる施策”や“試食・試飲でのメリット”など良い発散ができていました。
一方で、「どの案を採用するのか」「なぜ他の案より優先なのか」を決める基準(例:学生の経済的メリット、企業側のコスト・メリットのバランス)が曖昧だったため、最後は“なんとなく”で決まってしまった形になっています。
ファシリは「今は発散フェーズ、あと〇分で収束に入ります」「この基準で案を絞りませんか?」と明言して、フェーズを切り替える役割を意識すると評価が上がります。
個別フィードバックから見える“タイプ別の伸ばし方”
GDで高評価だった点と、もったいなかった点は?
安藤さん:藤田さんは、オンライン特有の“リアクション”も上手で、うなずきや相づちで「聞こえてます・理解してます」というメッセージを出せていたのが高評価でした。
安藤さん:一方で、ファシリとして発言量がやや多く、他のメンバーが話す余地をもう少しつくれると、チーム全体のバランスも良くなります。
安藤さん:内田さんは、落ち着いてアンダーシート(議事録)役を買って出て、議論が混乱している中でもどっしり構えられていたのが良かったです。
安藤さん:ただ、「ファシリと発表者は同じでいいですか?」と、相手にとって断りづらいセットを提案してしまった点はもったいなかったですね。ああいうときは、「発表者はファシリがやった方が流れを把握していてやりやすいかもしれません」と、相手の立場に立った理由づけで“提案”として出せるとスマートです。
安藤さん:中言さんは、「コンビニでバイトしたくない」というネガティブなイメージからターゲットのニーズを考えようとした視点が良かったです。
安藤さん:ただし、序盤は周りから振られないと発言が出てこなかったので、そこは大きな減点になります。考え込むタイプなら、「私は考えてから話すタイプなので、少し発言が遅れるかもしれませんが、整理してから必ず出します」と最初に自己申告しておくと、“黙っている人”ではなく、“深く考えている人”として見てもらいやすくなります。
安藤さん:小曽納さんは、持ち前の明るさで場を柔らかくしていたのがとても良かったです。初めて会うメンバー同士のオンラインGDだと、空気が固くなりがちなところを、テンションでほぐせるのは強みです。
安藤さん:ただし、テンパっているのが伝わるくらい話し続けてしまい、他のメンバーの発言チャンスを奪ってしまった時間帯もありました。タイムキーパーを担当するなら、「あと〇分です」を事前に画面共有したり、残り時間に応じて「そろそろ収束に入りましょう」とファシリ側に回ると、評価はさらに上がります。
同じGDでも「どこで強みを出すか」は人によって違います。
リーダー型なら、時間設計と前提整理、収束の基準づくりで勝負。
聞き役・慎重型なら、「考える時間をください」と宣言し、終盤で整理や補足を一発決める。
ムードメーカー型なら、序盤に空気をほぐしたあと、中盤以降は他人に話を振る側に切り替える。
自分のタイプを自覚したうえで、フェーズごとに役割を変えると、GD全体の貢献度が一気に上がります。
まとめ
前提整理と時間配分を最初に言語化して合意し、ミニプレゼン型で意見と指名をセットで出すことで、沈黙や衝突を防ぎながら議論を進められます。
自分のタイプに合わせて、序盤・中盤・終盤で役割を変えつつ、「発散」と「収束」を意識して動ければ、GDは“慣れ”で必ず勝てるパートになるはずです。
