26卒の3人の自己PRを題材に、エピソードの選び方・話し方・よくある勘違いまで具体的に解説されているので、自分の自己PRを作り直すときのテンプレとしてそのまま使える内容になっています。
就活YouTube「ひろさんチャンネル」を運営。人材系での採用・キャリア支援経験が長く、学生のES・自己PRを面接官目線で添削・フィードバックしている。
3人に共通していた、“評価される自己PR”の前提
なぜ3人ともベースのレベルが高かったのか?
岡本さん:3人とも「自分の強み」を語るだけで終わらず、ちゃんと成果を数字で出していたのがとても良かったです。ももさんは「学科100名中2位+奨学金」、いおりさんは「TikTokで1ヶ月半でフォロワー3000人」、ひかりさんは「売上40%アップ」という形で、第三者が見ても「それはすごい」と納得できる結果を出しています。
岡本さん:よくある自己PRは「粘り強さがあります」「学ぶ力があります」で終わってしまうのですが、それだけだと“主観”の域を出ません。そこに「だからこそこういう数字の成果を出せました」とセットで話すと、「この人は実際に仕事で結果を出してくれそうだ」と面接官がイメージしやすくなります。
自己PRでは、まず「どんな力があるか」よりも「どんな成果を出したか」の方が説得力があります。そのうえで、その成果につながる行動や工夫を説明することで、「この人に任せたらうちでも再現してくれそうだ」という印象につながります。
学業ガチ勢の自己PRは、“やっていることのレベル感”を上げて伝える
学業アピールは弱い?ももさんの例から見える強さ
岡本さん:ももさんのPRは、「学科約100人中2位+学内外の奨学金」という成果がまず非常に強いです。就活では勉強の話は弱いと思われがちですが、実際には“学生の本分で結果を出している”ので、大きなアピールになります。しかも3年間継続しての成果なので、「長期でやり切れる人」という評価にもつながります。
岡本さん:一方で、“その成果を生んだ行動”の部分は、もう一歩具体化するともっと良くなります。今の話だと「欠席・遅刻をしない」「テスト・レポートを計画的にやる」「教授に質問しに行く」という内容でしたが、これだけだと「真面目な人ならみんなやっていそう」にも聞こえてしまいます。
岡本さん:たとえば、「毎日授業後に2〜3時間は必ず復習と課題の時間に充てていた」「教授の研究テーマや論文を事前に読み、その話題から会話を始めることで、質問しやすい関係性を自分から作った」など、他の人が“そこまではやっていないだろう”と思える具体行動を入れると、一気に「トップ2%の成果を生むレベルの動き」に見えてきます。
岡本さん:さらに、「教授にとって“教えたい学生”になれるように工夫していた」という一言を足すと、将来のクライアントワークでも、「相手から応援される関係づくりが得意そうだ」と伝わる自己PRになります。
学業の成果を自己PRに使うことはまったく問題ありません。ただし「真面目に頑張りました」レベルで止めず、「トップ数%の成果と、それを支える具体的な時間の使い方・関係構築の工夫」まで落として話すと、“仕事でも結果を出せるタイプ”として評価されやすくなります。
SNSの実績は、“なぜ伸びると読んだのか”まで説明して差をつける
いおりさんのTikTokアカウント立ち上げの強みと改善点
岡本さん:いおりさんの強みは、「綿密に準備して目標を達成する力」として、TikTokアカウント立ち上げの話をしてくれました。2週間リサーチ+3週間運用で3000フォロワーという、ちゃんと達成できた目標を置けている点がまず素晴らしいです。
岡本さん:もう一段階良くするなら、「なぜそのジャンルなら短期間で伸ばせると判断したのか」を、もう少し具体的に話せると完璧です。たとえば、美容ジャンルは競合が多く後発には不利だと判断したから、「お金」「年収」といった誰もが興味を持ちやすく、かつ当時は競合がほとんどいなかった「年収インタビュー系」に絞った、などですね。
岡本さん:さらに、「フォロワー3000人」を“中身のある数字”にするために、「競合アカウントのフォロワー数」「市場の中でのポジション」も補足できると説得力が増します。
岡本さん:「同ジャンルで伸びているアカウントが1つだけだったので、伸びる余地があると判断した」「インタビュー形式にすることで最後まで視聴されやすく、エンゲージメントが高い設計にした」など、具体の工夫に落とし込めると、“たまたまバズった”ではなく、“仮説→検証の結果として伸ばした”と伝えられます。
SNSや個人の発信系の実績は、「数字」と「ジャンル選定の理由」「コンテンツ設計の工夫」をセットで話せると、一気にビジネス寄りの自己PRに変わります。
ブルーオーシャンを見つけた理由、伸びているアカウントの共通点をどう取り込んだかなどを入れると、「マーケ視点・戦略性のある人」として評価されやすくなります。
営業インターンの自己PRは、“課題→なぜその解決策か”を一直線に
ひかりさんの「お酢販売」の自己PRが選ばれた理由
岡本さん:ひかりさんの自己PRは、「準備をもとにした提案力」として、長期インターンでの高単価のお酢販売の話をしてくれました。売上40%アップという成果に加えて、「顧客層と商品価格がミスマッチ」「高いので検討される」という明確な課題設定ができていたのが良かったです。
岡本さん:そして、その課題に対して「全14種類のアレンジレシピを作成し、顧客に合った使い方を具体的に提案した」という解決策が、課題と一直線につながっている点も評価ポイントでした。単に「試飲を増やした」「値下げした」ではなく、「買った後のシーン(夫や子どもが喜ぶ姿)を想像させることで、単価の壁を超える工夫をした」というストーリーが見える自己PRになっています。
岡本さん:さらに強くするなら、「40%アップ」がどれくらいすごいのかを相対的に示す工夫があると良いです。たとえば「他のインターン生の平均が5本/日だったところ、自分は18本販売した」「10人中9位スタートだったが、3ヶ月連続で1位になった」など、比較対象を出すと面接官も「この子は他の人の3〜4倍売っているんだな」とイメージしやすくなります。
岡本さん:また、「エリア特性が価格と合わない」という課題設定をしたなら、「あえてエリアは変えずに、提案の工夫でどこまで戦えるかにこだわった」など、戦う土俵を自分で選んだ視点も一言添えられると、「環境のせいにせず、その場で成果を出そうとする人」に見えます。
営業系の自己PRでは、「課題(誰にとって、何が障壁か)→なぜその解決策が有効だと考えたか→どれくらい相対的に成果を出したか」の3本を一直線で説明できると、“売れるイメージ”が立ちます。数字だけでなく、他の人や通常水準との比較も入れると、すごさが一気に伝わりやすくなります。
自己PRは“強み探し”からではなく、“一番良い成果探し”から始める
どこから作り始めるのが一番ラク?
岡本さん:多くの就活生がやりがちなのは、「自分の強みは何だろう?」から自己PR作りを始めることです。これは発想としては自然なのですが、この順番だとほぼ確実に迷子になります。
岡本さん:おすすめは、「一番良い成果が出たエピソードはどれか?」から逆算するやり方です。たとえば、「学業でトップ2%」「長期インターンで売上40%アップ」「SNSで短期間にフォロワー3000人」など、客観的に見てインパクトがある成果をまず一つ決めます。
岡本さん:次に、その成果につながった行動を逆算して洗い出します。「成果→行動→強み」という順で考えるイメージです。成果を出すまでの行動を並べてみると、「自分はコツコツ継続できるタイプなのか」「リサーチや準備に時間をかけるタイプなのか」「その場で工夫を回し続けるタイプなのか」といった“強みのパターン”が自然に見えてきます。
岡本さん:最後に、「この行動の特徴をひと言で言うと何か?」をまとめて、自己PRの冒頭に「私の強みは◯◯です」と置いてあげれば、強み⇔エピソードの一貫性が取れた自己PRになります。
「強み→エピソード」と考えるのではなく、「一番良い成果→成果までの行動→その行動に共通する特性(=強み)」と逆算することで、内容に無理のない自己PRを作れます。結果的に、深掘りされたときに整合性を崩さずに話し続けられるようになります。
最初から全部話さず、“深掘りしてもらえる余白”を残す
1回目の自己PRはどこまで話す?30〜60秒の“フック”の作り方
岡本さん:面接で「自己PRをお願いします」と言われたとき、最初から全部を3分くらいで話し切る人が多いのですが、これはあまりおすすめしません。面接はあくまで“会話”なので、最初の1ターンは30〜60秒くらいで切り上げ、面接官が深掘りしたくなるポイントを残しておく方が良いです。
岡本さん:具体的には、「私の強みは◯◯です。それを表すエピソードとして、△△という状況で□□という目標を置き、2つの工夫を行った結果、××という成果を出すことができました」という“あらすじ”までで一度止めます。
岡本さん:このとき大事なのは、「目標」「数字」「“2つの工夫”」のように、深掘りしたくなるフックをあえて残しておくことです。そうすると面接官は自然に「その工夫って何?」「一番大変だったところは?」と聞き返してくれるので、2ターン目・3ターン目で落ち着いてディテールを話すことができます。
自己PRの1ターン目で、成果も行動も学びも全部話そうとしないこと。短い“サマリー+数字+工夫の数”くらいにとどめておき、「詳しく教えて」と言わせる構成にすると、自分のペースで話を展開しやすくなります。
「学び」よりも“行動のディテール”を増やした方が強い
感情・学び・今後への活かし方はどれくらい必要?
岡本さん:「この経験から◯◯を学び、今後の仕事で□□に活かしたいです」という“締め”はよくありますが、時間や文字数が限られているES・面接では、必須ではありません。
岡本さん:採用側が本当に知りたいのは、「この人が仕事で結果を出してくれるかどうか」です。その判断材料になるのは、「どれだけの成果を出したか」と「その成果につながる行動が、どれくらい具体的でレベルが高いか」の2つです。「何を学んだか」は、あくまで面接官側があなたの話を聞いて評価・解釈するところなんですね。
岡本さん:だから、学びを1文入れるくらいは全然良いですが、その分のスペースがあるなら行動をもう1つ具体的に入れた方が評価につながりやすいです。「学び」や「今後の活かし方」は、“言わなきゃいけないもの”ではなく、“行動の具体化が十分できているかどうか”を優先して考えてみてください。
「学び」「今後の活かし方」は、余裕があれば一言添える程度でOKです。それよりも、同じ文字数・同じ時間で「具体的な行動」「工夫」「時間の使い方」を1つでも増やした方が、面接官が評価を下しやすくなります。
ESと面接で“同じ自己PR”を話さないための工夫
400文字に合わせて作るのではなく、フルバージョンから削る
岡本さん:ESの文字数に最初から合わせて自己PRを作ると、「400文字に収めるためだけに作られた、薄い自己PR」になりがちです。おすすめは、まず“面接用のフルバージョン”を作ってから、ES用に削るやり方です。
岡本さん:フルバージョンは、500〜600文字くらいあって構いません。「成果→行動→強み」が一番わかりやすく伝わる形を優先して書き切ってしまいます。そのうえで、ESの指定文字数(例:400字)に合わせて、「削っても意味が大きく変わらない部分」から減らしていく。
岡本さん:そうすると、面接で話す内容とESの内容が“単なるコピペ”にはならず、「ES:要約版」「面接:詳細版」として使い分けられます。面接官がESを読んで興味を持ったところを、フルバージョンで補完するイメージですね。
自己PRは「ES用を作ってから面接でも同じことを話す」のではなく、「面接で話したい内容(フル版)→そこからES文字数に削る」という順番で作ると、一貫性を保ちつつ、場面ごとに最適な密度で話せるようになります。
“笑ってごまかす”も立派なスキルになる
止まったときにどうする?表情が合否を分けることもある
岡本さん:ももさんの自己PRでもそうでしたが、話している途中で言葉が詰まってしまう瞬間は、誰にでもあります。そのときに「やばい…」「どうしよう…」という表情になってしまうと、自分で自分を追い込み、ますます話せなくなってしまう悪循環が起きます。
岡本さん:そんなときに使ってほしいのが、「笑ってごまかす」です。やらかしたときに「すみません、ちょっと飛んじゃいました(笑)」と素直に笑える人は、面接官から見ても「この人と一緒に働きたい」と思われやすいです。完璧な人より、“ミスも含めて雰囲気を明るくしてくれる人”の方が、実際の職場では評価されることが多いからです。
岡本さん:「ヘラヘラしてると思われないか心配」という声もありますが、就活で大事なのは“笑顔で一緒に働きたいかどうか”。内容がしっかりしている前提で、ちょっとしたミスを笑顔で流せる人は、むしろプラス評価になりやすいです。
言葉が詰まっても、取り返しは十分に効きます。そのときにむしろ評価を分けるのは顔つきや雰囲気です。「やばい」と固まるより、「やっちゃいましたね(笑)」と笑って仕切り直せる方が、“一緒に働きたい人”として記憶に残ります。
まとめ
強み探しから始めるのではなく、「一番良い成果を出したエピソード」から逆算して行動と強みを言語化すると、一貫性のある自己PRが作れます。
学業・アルバイト・インターン・SNSなど、どんなジャンルのエピソードでも、期間・責任・成果・工夫を具体的に話せば十分に武器になります。
また、最初の回答は30〜60秒程度の“サマリー+数字+工夫のタネ”にとどめ、深掘りしてもらう前提で余白を残すと、面接官との会話がスムーズになります。
ESではフルバージョンから削る形で要約版を作り、面接では笑顔と余裕を持って“ミスも含めて自分”を見せていくことで、「一緒に働きたい」と思われる自己PRに仕上げていけます。
