人気業界を目指す就活生ほど、「言語化がうまくできない」「熱意はあるのに伝わらない」という悩みにぶつかります。第一志望の広告代理店に落ちたばかりの西村さんのケースを通して、広告志望の軸をどう作り直すか、一緒に整理していきます。
自己紹介
しゅん
自己紹介をお願いします!
大澤さん
Open Work株式会社代表の大澤と申します。就職・転職の領域で、企業と個人の情報を扱う仕事をしています。
奥井さん
NewsPicksなどビジネス系コンテンツで司会やMCをしています、奥井です。今日は就活生目線に寄り添いながらも、プロの目線も挟んで話せればと思います。
池上さん
サクラスの池上と申します。これまでコンサルや経営側の仕事をしてきました。
西村さん
立教大学の西村と申します。これまではサイバーエージェントを第一志望としていましたが、その最終選考で落ちてしまい、今は新しい業界ややりたいことを探っている状態です。
トピック①:自己PR
しゅん
ではまず、自己PRをお願いしてもいいですか?
西村さん
私は大学時代にカフェでのアルバイトと、スイスへの1年間の留学、この2つに力を入れてきました。特にスイス留学は、自分の価値観を大きく変えた経験でした。「自分の価値観を最大化する」ということを目的に、内部の人と積極的に関わり、自分から臆することなく新しいことにチャレンジすることを心がけて行動してきました。
しゅん
ありがとうございます。スイスの1年間を通して人間的に成長したと感じていると思うんですが、その経験は会社側にとってどんなメリットになりますか?
西村さん
一番大きなメリットは、さまざまなバックグラウンドを持つ人と協働できることだと思います。1年間のスイス生活の中で、考え方や価値観が異なる人たちと生活を共にしたことで、その人の行動の奥に「どんな背景や意図があるのか」を常に考える癖がつきました。
西村さん
そのため、会社でも異なる価値観を持つ人たちと一緒に働く際に、相手を理解しながら関わることができると考えています。
💡ポイント
“自分が成長した”で終わらせず、「その経験が会社やチームにどんなメリットをもたらすか」まで落とし込んで話せると、自己PRの説得力が一気に上がる。
“自分が成長した”で終わらせず、「その経験が会社やチームにどんなメリットをもたらすか」まで落とし込んで話せると、自己PRの説得力が一気に上がる。
トピック②:カフェバイトでの苦労と乗り越え方
しゅん
カフェのアルバイトか留学、どちらでもいいので、「一番大変だったこと」と「どう乗り越えたか」を教えてもらえますか?
西村さん
一番大変だったのは、カフェでのアルバイトの研修期間です。本来3ヶ月の研修期間のところを、私は6ヶ月かかってしまいました。なかなか一人前と認めてもらえず、「自分の何がダメなのか」が分からないのが苦しかったです。
西村さん
そこで、店長に「自分のどこが良くないのか」を具体的に聞いて、それをメモに落とし込みました。その内容を実際のシフトで意識して実行し、シフト後には「今日はこう改善してみました」と店長に報告する、ということを繰り返しました。その結果、少しずつできることが増えて、研修を無事に終えることができました。
💡ポイント
「フィードバックをもらい→言語化し→実行し→報告する」というサイクルは、どの仕事でも重要な“伸びる人の行動パターン”。ガクチカに乗せる価値が十分ある。
「フィードバックをもらい→言語化し→実行し→報告する」というサイクルは、どの仕事でも重要な“伸びる人の行動パターン”。ガクチカに乗せる価値が十分ある。
トピック③:広告志望と“自分らしさ”が噛み合っていない?
しゅん
西村さんは今、広告・PR・マーケ業界を志望しているんですよね。どういう会社に行きたいと考えていますか?
西村さん
20代のうちに成長したいというのが軸にあって、風通しの良い会社、自分が何か意見を言ったときにきちんと受け止めてくれる文化がある会社、自分が「これをやりたい」と言ったときに向き合ってくれる環境がある会社に行きたいと思っています。
しゅん
では、ここでお三方に「一緒に働きたいか」という観点で札を挙げてもらいました。結果は…池上さんと大澤さんがバツで、奥井さんがマルと分かれましたね。理由を教えてください。
池上さん
まず、ガッツもあるし頭も良いと思います。ただ、行きたい業界とご自身の特性があまり合ってない気がしました。一番感じたのは、「自分の軸が強い」こと。広告・PR・マーケは“クライアントの価値を最大化する仕事”なので、自分の考えよりクライアントの成功が価値基準になる場面が多いです。
池上さん
風通しうんぬんより、「顧客にとって価値があるなら、自分の案を飲み込まなきゃいけない」ときもあります。多様性のあるグローバル環境や、ボトムアップで新しい価値を生む組織のほうが特性に合いそうだな、と感じました。
大澤さん
僕も「西村さんという人は魅力的だけど、広告代理店との相性はどうだろう?」と思いました。広告会社は日本人中心の同質的な集団で、「多様な価値観と一緒に働く」がやや活かしづらい環境かもしれない。
大澤さん
一方で、グローバルな事業会社や外資系のほうが、留学経験や多様性への感度が活きやすいと思います。
奥井さん
私は「一緒に働きたい」という札でした。人として悪いところは何もないし、タイムロック代表をやっているなど行動力もあるので。ただ、お二人が言うように「方向性は少しシフトしてもいいのかな」というのは私も感じました。
💡ポイント
“その人の良さ”と“業界との相性”は別問題。自分の強みが最大限活きるフィールドがどこか、一度立ち止まって見直す価値がある。
“その人の良さ”と“業界との相性”は別問題。自分の強みが最大限活きるフィールドがどこか、一度立ち止まって見直す価値がある。
トピック④:「好きだから」は志望動機になるか?
しゅん
西村さん、自分では「広告志望の理由をうまく言語化できない」と言っていましたが、そこはどう感じていますか?
西村さん
広告業界に興味を持ったきっかけは、ある電通のクリエイターの方とお話ししたことがきっかけで、それまで自分が持っていた「つまらなそうに働く社会人」のイメージを一掃してくれたことでした。その憧れの気持ちが大きいんですが、「好きだから」で話が終わってしまって、深掘りされたときにうまく話せないのが悩みです。
池上さん
正直に言うと、「アニメが好きだからアニメ業界で働きたいです」と言っているのと構造は同じで、それだけだと物足りないです。
池上さん
広告志望なら、「自分の好きな広告はこれで」「こういう表現が世の中に与えるインパクトが好きで」「だからこういう仕事がしたい」と、かなり解像度高く語れる人もたくさんいます。競争が激しい分、「なんとなく好き」では勝ち切れない世界ですね。
奥井さん
「好きで志望しているのは本当だけど、うまく説明できない」のはあるあるです。ただ、「言語化できないなら、まずは言語化しやすい業界も視野に入れる」という選択肢もありますよね。広告志望一本勝負ではなく、自分の強みがしゃべりやすい業界も一緒に見ておくと、余裕が生まれると思います。
大澤さん
テクニック的なアドバイスをすると、志望動機を考えるときに「見ている時間軸と空間軸が狭すぎる」と詰まることが多いです。留学体験や“憧れの人”との出会いだけでつなげようとすると、ストーリーが窮屈になる。
大澤さん
中学・高校時代までさかのぼって、「自分のアイデアで人を喜ばせた経験」「企画して場をつくるのが好きだった瞬間」がないか、時間軸を広げて探してみると、広告志望の土台になるエピソードが出てきやすいです。
💡ポイント
「好きだから」はスタート地点として大事だが、それを“どう仕事としてやりたいのか”まで分解して話せて初めて志望動機になる。時間軸を中学・高校まで広げて、「自分のアイデアで人を動かした瞬間」を棚卸しするのが有効。
「好きだから」はスタート地点として大事だが、それを“どう仕事としてやりたいのか”まで分解して話せて初めて志望動機になる。時間軸を中学・高校まで広げて、「自分のアイデアで人を動かした瞬間」を棚卸しするのが有効。
トピック⑤:過去の“小さな企画”にも広告志望のヒントがある
しゅん
時間軸を広げるという話でいうと、中高時代に“今の志望につながりそうなこと”って何かありますか?
西村さん
そう言われると、自分のアイデアで人を喜ばせたり、企画して場をつくることは昔から好きでした。クリスマスパーティーを企画するのも、旅行の行き先リストや予約を全部やるのも、いつも私の役割で。
西村さん
映画をみんなで見て、それを一緒に語る会を開いたりもしていました。誰かのために伴走して何かをするのが好きで、そういう意味で代理店業務が自分に合ってるかもと思ったことはあります。
大澤さん
そこはまさに広告・代理店の素養ですよね。「自分が前に出る」より「誰かのために場を設計する」「アイデアを形にして喜ばれる」が好き、というのは立派な志望動機の一部だと思います。
池上さん
ただ、目指しているところが競争率激しいので、「やることを全部やったうえで、それでもダメなら別の業界を探す」くらいの覚悟は必要ですね。
💡ポイント
過去の「友だちのためにイベントを企画した」「場をつくった」という小さな経験も、広告や代理店志望の立派な根拠になる。それを軸に、「なぜそれが好きなのか」「仕事でどう再現したいのか」を深掘りしてみる。
過去の「友だちのためにイベントを企画した」「場をつくった」という小さな経験も、広告や代理店志望の立派な根拠になる。それを軸に、「なぜそれが好きなのか」「仕事でどう再現したいのか」を深掘りしてみる。
まとめ
✔️自己PRでは、「自分がどう成長したか」だけでなく、「その経験が会社やチームにどう役立つか」まで具体的に落とし込むと説得力が増す。
✔️広告・PR志望のとき、「自分の軸が強すぎる」とクライアントワークとの齟齬が出る可能性もあるため、自分の特性と業界との相性を一度冷静に見直してみる。
✔️「好きだから」は大事な出発点だが、その“好き”をどんな仕事・価値提供に変えたいのかを、中学〜大学までの時間軸で棚卸しすると志望動機が深まる。
✔️競争が激しい業界ほど、「ガチで語れるエピソード」と「地味な作業や苦労も受け止める覚悟」が必要。やることをやったうえで、それでもダメなら視野を広げる柔軟さも大切。
大澤さん
第一志望に落ちても、そこで終わりではありません。「自分はなぜこの仕事をやりたいのか」を一段深く言語化していけば、次のチャンスでちゃんと伝わるようになっていきます。
