メ~テレ(名古屋テレビ)のディレクターとして活躍しつつ、「ロバートのメモを取り続けてきたオタク」としても知られる“メモ少年”こと篠田直哉さんに、「好きを仕事にするって実際どうなの?」を根掘り葉掘り聞きました。
自己紹介
とっきー
自己紹介をお願いします!
篠田さん
メ~テレで番組ディレクターをしている篠田直哉です。今はロバートの秋山さんと一緒に番組を作ったりしながら、“ロバート愛”を仕事にも乗せています。
こなぎ
東京都立大学3年のこなぎです。まさに「自分といえば○○がない」タイプなので、今日はそのあたりを聞きたいです。
トピック①:メモ少年はどうやって“好きを仕事”に変えたのか?
とっきー
まず、メモ少年って何者なんですか?
篠田さん
小学生の頃からロバートさんが好きで、ライブに行くたびに3人の発言を全部メモしてたんです。それを秋山さんや周りの芸人さんに見つかって「メモ取ってる少年がいるぞ」ってなって、“メモ少年”と呼ばれるようになりました。
こなぎ
そのまま「推しを追い続けてたら、テレビ局員になってました」ってことですよね?
篠田さん
乱暴に言うとそうですね(笑)。高校まで大阪で過ごして、「東京の方がロバートに近づける」と思い、法政大学メディア社会学科に進学して上京。
篠田さん
そこからテレビ局を目指して、今はメ~テレで秋山さんと一緒に番組を作らせてもらってます。
とっきー
いきなり1年目からロバートの番組を?
篠田さん
いや、最初は普通に情報番組のADです。ロケ先の調整、スタッフとの連絡、ディレクターさんの雑用…みたいな“何でも屋”を1年ちょっと。その後、音楽番組のディレクターをやらせてもらうようになって、そこからだんだん自分の「好き」が仕事に混ざっていった感じです。
💡ポイント
いきなり“推しそのもの”が仕事になるわけじゃない・最初は土台となるスキルや現場経験を積みながら少しずつ「好き」が混ざっていく・好きを仕事にした人も入口はわりと普通の下積み
いきなり“推しそのもの”が仕事になるわけじゃない・最初は土台となるスキルや現場経験を積みながら少しずつ「好き」が混ざっていく・好きを仕事にした人も入口はわりと普通の下積み
トピック②:「ロバートが好き」を自己分析すると“仕事の軸”になる
こなぎ
篠田さんはどう自己分析していったんですか?
篠田さん
最初は「ロバートが好き!」一点突破で就活してたんですよ。でもテレビ局ってロバートだけを流す場所じゃないし、それだと自己中心的すぎて全然通らなくて。
とっきー
そこで“好きの解像度”を上げた?
篠田さん
そうです。「ロバートの何が好きなんだろう?」ってめちゃくちゃ分解しました。そこで、「俺はロバートの面白さを人に布教するのが一番好きなんだ」って気づいたんです。中学のときも、クラスメイトに無理やりDVD見せたりしてて(笑)。
篠田さん
そこまで行くと、“ロバート”そのものより「自分がいいと思うものを人に伝える仕事」がしたいんだって軸が見えてきて、テレビ局員って選択肢に繋がったんですよね。
とっきー
ロバートが好き、で止まらずに「どう好きか」まで落としたら、仕事の形が見えたと。
💡ポイント
「○○が好き」で止まらず「どう好きか」「何をしている時が一番楽しいか」を言語化する・好きの中でも自分が一番燃えるポイントを見つけると職種のヒントになる・自己分析のノート書き&分解は地味に最強
「○○が好き」で止まらず「どう好きか」「何をしている時が一番楽しいか」を言語化する・好きの中でも自分が一番燃えるポイントを見つけると職種のヒントになる・自己分析のノート書き&分解は地味に最強
トピック③:オタク目線×プロ目線で“好きを仕事”にアップデートする
とっきー
実際、テレビ局員になってから「自分らしさ」を出せるようになったのはいつ頃ですか?
篠田さん
音楽番組のディレクターをやり始めた2年目以降です。担当するアーティストやアイドルが決まったら、「一回ちゃんとオタクになる」と決めてました。
こなぎ
どういうことですか?
篠田さん
30時間ぐらい、そのアーティストの曲とライブ映像を見まくるんです。そうすると、「この曲のこのタイミングは必ずこのメンバーが抜かれてるな」とか「このギターソロはファンにとって神ポイントだな」とかわかってくる。
篠田さん
そこを意識してカット割りやトークの台本に落としていくと、SNSで「わかってる番組だ!」ってファンの人が反応してくれるようになるんですよ。
とっきー
オタク目線×マスメディア目線のミックスですね。
篠田さん
そうです。テレビって基本は「老若男女に伝わるもの」を作る場所だけど、その中にちょっとだけオタクの喜ぶカットを仕込む。僕はそこに自分の色が出せると思ってます。
こなぎ
推し活してきたからこそ、“分かってる側”の番組を作れる。
篠田さん
そうですね。ロバートじゃなくても、「誰かの推し」の隣にいる感覚でやってます。
💡ポイント
推し活で培った「ファン目線」を仕事に持ち込むと差別化になる・好きなこと=対象だけじゃなく「オタクとしての観察眼」も強みになる・プロ目線とオタク目線を分けつつ混ぜるのが“好きを仕事”のアップデート
推し活で培った「ファン目線」を仕事に持ち込むと差別化になる・好きなこと=対象だけじゃなく「オタクとしての観察眼」も強みになる・プロ目線とオタク目線を分けつつ混ぜるのが“好きを仕事”のアップデート
トピック④:「好きを仕事にする」は正義?
とっきー
最近は「好きなことを仕事にするのが正解」みたいな風潮ありますよね...。
篠田さん
でも僕は必ずしも、好きなことを仕事にしないといけないとは思っていない。僕みたいに「人生全部ロバート」みたいな人間はかなりレアケースで、周り見回してもそんな人ほとんどいないです。
こなぎ
でも面接で「あなたを一言で表すと?」とか「ハッシュタグで言うと?」って聞かれると、ラベル作らなきゃってなっちゃって…。
篠田さん
大事なのはラベルの強さじゃなくて、中身のエピソードです。僕も就活のとき「ハッシュタグ:仕掛け人」とか「人の楽しいを仕掛ける人」みたいな言い方をしてたんですけど、それに紐づくエピソードとしてロバートの布教とか、フラッシュモブサークルで人を驚かせた話とかをセットで話してました。
とっきー
「ロバート」じゃなくて、「人の楽しいを仕掛ける」がラベル。
篠田さん
そうそう。ハッシュタグ“ロバート”だと採用されない(笑)。でも「人を楽しませる仕掛けを考えてきた人」なら、いろんな仕事に繋がる。ラベルはそのくらいゆるくていいと思います。
こなぎ
じゃあ「私といえばこれ!」がない人も、無理に作らなくていい?
篠田さん
はい。むしろ無理やり作ろうとすると、薄っぺらくなります。大事なのは、過去の経験をメモ帳に殴り書きして、自分の共通項を見つけていくこと。ロバートみたいな分かりやすい推しがなくても、違う強みはいくらでも見つかります。
💡ポイント
「自分といえば○○」がなくても普通・ラベルより中身のエピソードの方が重要・ハッシュタグは“行動の共通点”レベルでOK(例:人の楽しいを仕掛ける人)
「自分といえば○○」がなくても普通・ラベルより中身のエピソードの方が重要・ハッシュタグは“行動の共通点”レベルでOK(例:人の楽しいを仕掛ける人)
トピック⑤:好きを仕事にするリスク
とっきー
好きを仕事にするリスクって、どんなところにありますか?
篠田さん
プレッシャーは大きいです。僕にとってロバートは、仕事でもあり趣味でもあり、人生のかなりの割合を占める存在なので、そこがうまくいかなくなると一気にごそっとメンタル持っていかれる可能性はあります。
こなぎ
それでも嫌いになったことはないんですか?
篠田さん
僕はなかったですね。むしろ一緒に仕事をしてみて、3人がどれだけ笑いに真剣かを知って、もっと尊敬度が上がりました。あと、オタクとしてのスタンスとして「推しを否定しない」と決めているので、仕事として違和感があったとしても“自分の感性の問題”だと思うようにしてます。
とっきー
働き方としてはどうですか?
篠田さん
法律ギリギリまで働くこともあります(笑)。でもそれは、自分の「時間を費やしたい対象」だから耐えられている面もあるので、誰にでも勧めたいわけではないです。
こなぎ
じゃあ、「好きを仕事にしない」選択も全然アリ?
篠田さん
もちろんアリです。友達にも、「仕事とプライベートは絶対混ぜたくない」ってタイプがいます。その方が幸せな人もたくさんいる。だからまずは、自分が“好きを仕事にしたいタイプかどうか”を自己分析した方がいいと思います。
💡ポイント
好きを仕事にするとプレッシャーもセットでついてくる・推しを仕事にするのが正義ではない(趣味に全振りも立派な選択)・「好きを仕事にしたいタイプかどうか」から自己分析する
好きを仕事にするとプレッシャーもセットでついてくる・推しを仕事にするのが正義ではない(趣味に全振りも立派な選択)・「好きを仕事にしたいタイプかどうか」から自己分析する
トピック⑥:将来のキャリアは“今の一歩”の積み重ねでいい
とっきー
篠田さんは先のことや、長期的な目標をどれくらい考えてますか?
篠田さん
正直、そんなに考えてないです(笑)。もちろん「ロバートさんがいる限り、一緒に面白いものを作り続けたい」という目標はありますけど、それも“目の前の1本をちゃんと面白くする”の延長だと思ってます。
こなぎ
テレビ業界の将来とか、不安はないんですか?
篠田さん
不安ゼロではないですが、「今はテレビ局にいるからこそ、1本に何百万もかけられる番組が作れる」というメリットがあります。YouTubeで1本1万円の企画を作っていた経験もあるので、どっちも知った上で今はテレビにいる。キャリアチェンジをしたいと思ったら、そのときに考えればいいかなと。
とっきー
社会人3年目くらいになると「キャリアどうしよう」とか考え始める人多いんですよね。
篠田さん
その気持ちはよくわかります。ただ、今の時代ってみんな普通にジョブチェンジするし、転職も当たり前。最初から“一生モノの会社”を決める必要はないと思います。それよりも、毎日1個ずつ目の前の仕事を丁寧にこなす→自分の強みを増やしておくことの方が、長期的に見ると効いてくる気がします。
こなぎ
最後に、20代や就活生に一言お願いします。
篠田さん
「謙虚にちょっとずつ攻める」。これに尽きるかなと思ってます。キラキラしたロールモデル動画ばかり見て焦るより、肩の力を抜いて、自分のペースで一歩ずつ積み重ねていけば大丈夫です。
💡ポイント
10年後の完璧なビジョンはなくてもいい・「今の1本」「今日の仕事」をちゃんとやることが未来の選択肢に繋がる・謙虚に少しずつ攻めるくらいが、ちょうどいいペース
10年後の完璧なビジョンはなくてもいい・「今の1本」「今日の仕事」をちゃんとやることが未来の選択肢に繋がる・謙虚に少しずつ攻めるくらいが、ちょうどいいペース
まとめ
✔️「○○が好き」で終わらせず、「どう好きか」「何をしているときが一番楽しいか」まで自己分析すると、仕事の軸が見つかる。
✔️好きを仕事にするにも、オタク目線×プロ目線を混ぜることで“ただのファン”から“価値を出せる人”になれる。
✔️「好きを仕事にしなきゃ」は思い込み。仕事と趣味を分ける生き方も普通にアリ。
✔️ラベルの強さより、そこに紐づくエピソードと行動の共通点が大事。
✔️将来をガチガチに決めなくても、目の前の仕事を丁寧にこなしていけば、キャリアは後からいくらでも作り直せる。
篠田さん
好きなことがあってもなくても大丈夫。ラベルに縛られすぎず、謙虚にちょっとずつ、自分のペースで攻めていこう。
