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「面接1社のために、往復3万円と丸1日」
地方から東京の選考を受けていると、どこかで一度は計算すると思います。新幹線で片道2時間半、往復で3万円。その日は移動でほぼ終わる。だから「ここは受けるのをやめておこう」と、自分で受ける会社を減らしていく。
Yahoo!知恵袋にも、同じ状況の相談がいくつも投稿されています。実際に読んでみると、多くの人が同じところでつまずいていました。
この記事では、東京の選考に何回行くことになるのかを先に見積もったうえで、行く回数そのものを減らす「まとめ受験」のやり方を紹介します。
1. まず、東京に何回行くことになるのか
選考のフローを並べて、対面になりやすいところを整理すると次のようになります。
選考フェーズ | 対面になりやすさ | 交通費 |
会社説明会・座談会 | オンラインも多い | 基本は自己負担 |
エントリーシート提出 | — | — |
グループディスカッション | 対面が残りやすい | 自己負担のことが多い |
一次面接 | 企業によって分かれる | 出る場合がある |
二次面接 | 対面が増える | 出る場合が多い |
最終面接 | ほぼ対面 | 出ることが多い |
オンライン選考は定着しましたが、グループディスカッションから先を対面に戻す企業は今も少なくありません。1社あたり対面が3回だとすると、5社受けるだけで15回になります。
なお、地元の合同説明会には東京の企業がほとんど来ません。東京の企業との接点の作り方はこちらの記事にまとめています。
ここで見落としやすいのが、交通費が出るタイミングです。
一般に交通費が支給されるのは、早くても面接から。会社説明会や座談会、リクルーター面接などは交通費も自腹になることが多い
(参考:dodaキャンパス)
つまり、回数が多い前半ほど自己負担になりやすいということです。ここを考えずに動くと、選考が進む前に予算のほうが先に尽きます。
金額の目安もひとつ挙げておきます。2019年卒を対象にした調査では、就活費用のうち交通費の平均が66,170円でした(HR NOTE)。数年前の調査なので今の物価とは差がありますし、九州・沖縄・北海道のように夜行バスという選択肢が取りにくい地域では、この平均より高くなりやすいです。
2. 1社ずつ受けると、何が起きるか
地方の就活が苦しくなるのは、金額そのものよりかかり方のほうに原因があります。
首都圏の学生 | 地方の学生 | |
1社受けるのにかかる移動 | 電車で30分〜1時間 | 新幹線・飛行機で片道2〜3時間 |
1日に受けられる社数 | 2社まわれることもある | 基本は1社 |
交通費 | 数百円〜数千円 | 往復で1〜3万円 |
宿泊 | 不要 | 前泊が必要なことがある |
同じ会社を受けていても、1社あたりにかかるものが何倍も違うわけです。「東京の同期と差がついている気がする」と感じるとしたら、その正体はここにあることが多く、能力の話ではありません。
だから地方学生が最初に手をつけるべきなのは、自己分析でも業界研究でもなく、日程の組み方だと思います。
3. まとめ受験のやり方(4ステップ)
ステップ1|上京する週を先に決める
多くの人は「選考日程が決まってから、上京するかどうかを決める」という順番で動いています。地方学生の場合、これを逆にします。先に上京する週を決めて、そこへ選考を寄せていくやり方です。
たとえば「9月の第2週に東京へ行く」と決めてしまう。志望度の高い企業の選考が動き出す時期を基準にすると決めやすいです。
ステップ2|企業に滞在期間を伝える
ここがいちばん差が出ます。日程調整の連絡が来たとき、あるいは説明会に参加したときに、こう伝えておきます。
「9月8日から12日まで東京に滞在する予定です。可能であれば、その期間で面接をご調整いただけますでしょうか」
企業の採用担当者は、あなたが地方から来ることを知りません。伝えれば合わせてくれる企業はめずらしくありませんし、逆に伝えなければ配慮のしようがありません。地方であることを不利にしないためにできるのは、隠すことではなく先に言うことです。
ステップ3|オンラインで受けられないか確認する
募集要項に「対面」と書かれていても、事情を伝えるとオンラインに切り替えてくれる企業はあります。全部を対面で受ける前提で予定を立てる前に、一度聞いてみる価値はあります。
ステップ4|滞在の拠点を決める
滞在中に3〜5社をまわるなら、都内に落ち着ける場所があるかどうかで動きやすさが変わります。ホテルを取ると1泊分の費用が滞在日数そのままかかるので、ここが最後に残る負担になりがちです。
4. 使える制度は先に調べておく
全額を自分で負担する前に、使えるものがないか確認しておきましょう。
内容 | 注意点 | |
自治体の支援制度 | UIターン就職を促すため、交通費や宿泊費を補助 | 「地元に戻る就職」が条件のものが多い |
企業の交通費支給 | 面接以降に支給されることがある | 説明会・GDは対象外のことが多い |
就活サービスの滞在サポート | 宿泊先の提供や交通費の補助 | 対象学年・条件はサービスごとに違う |
自治体の制度は、厚生労働省のLO活で出身地ごとに検索できます。条件が細かいので、早めに見ておくのがおすすめです。
滞在サポートのあるサービスとしては、ジョーカツ(運営:株式会社ナイモノ/27卒対象)があります。上京就活の期間に使える宿泊先の提供、上京の交通費補助(上限3万円・条件あり)、担当キャリアアドバイザーの伴走がついていて、紹介先は首都圏の成長企業700社以上から選べます。滞在中にまとめて面接を組みたい人とは、もともと相性がいいサービスです。条件の詳細は公式の案内で確認してください。
5. まとめ受験には、前提があります
ここまで日程とお金の話をしてきましたが、ひとつ大事な前提があります。
滞在中に3〜5社の面接を組むということは、その前に書類を通過していないといけないということです。ESで落ちていたら、そもそも上京する用事が生まれません。
そして地方学生には、書類の段階でつまずきやすい事情があります。
知恵袋の相談を読んでいて印象的だったのは、悩みの中心が交通費ではなかったことです。いちばん多かったのは、「長期インターンが都内にしかなくて参加できない。だからガクチカに書くことがない」という声でした。「アルバイトの話しか書けない」「都内でインターンをしている学生に勝てる気がしない」と続きます。
ただ、ここは書き方でかなり埋められます。同じアルバイトの経験でも、何を課題だと考えて、どう変えて、結果どうなったかを具体的に書ければ、企業はきちんと読んでくれます。書くことが思いつかない場合は、経験の棚卸し3ステップから始めてみてください。
問題は、それが自分では判断しにくいことです。周りに就活の話ができる人が少ない、面接やGDの練習相手も見つけにくい——地方学生が繰り返し挙げるのが、この環境の差でした。だからこそ、書類は一度誰かに見てもらったほうが早いです。
上京の日程を組む前に、まずESを仕上げてしまいましょう。順番としてはこうなります。
ESを完成させて、第三者に見てもらう
書類が通り始める
面接の日程が入る
その日程を1週間に寄せて、まとめて受ける
まとめ
東京の選考は「1社あたり対面3回 × 社数」で効いてくる。しかも回数の多い前半ほど自己負担になりやすい
1社ずつ受ける前提をやめて、上京する週を先に決めてから選考を寄せる
企業には「この期間は東京にいます」と先に伝える。伝えなければ配慮されない
自治体の制度と、上京就活向けの滞在サポートは早めに調べておく
そしてまとめ受験の前提は書類通過。日程を組む前に、まずESを仕上げる
地方であること自体が不利になるわけではありません。不利になるのは、首都圏の学生と同じ動き方をしたときです。
