「最高月収2400万」「伝説の営業マン」と聞くと、なんだか自分とは別世界の話に感じますよね。でも、芦名勇輔さんの話をよく聞くと、スタートはふつうの大学生と同じ。「就活って意味わかんない」「業界研究してもピンとこない」とモヤモヤしていたところから始まっています。この記事では、芦名さんとしゅんの対談から「就活にそのまま使える考え方」を5つのトピックに分けて紹介します。自己分析、業界選び、面接で何を話すか、キャリアの考え方まで、26卒・27卒の就活生が「今日から変えられるヒント」をギュッとまとめました。
トピック1:アメフト漬けの学生生活と「業界なんて全部同じ」思考
どんな学生だったの?
芦名:僕、大学入った目的ってアメフトだけだったんですよ。慶應の商学部を選んだのも「テストがマークシートで一番卒業しやすい」からで、それ以外の時間は全部アメフト。大学生活はほぼ100%アメフトでした。
しゅん:じゃあ、サークルとか遊びよりも、ガチでアメフトって感じだったんですね。
芦名:そう。高校のときは勉強しかしてなくて、受験太りで182cm88kgのちょいポチャ。そこから肉体改造して、大学では“成り物入り”で入ってきた感じですね。
しゅん:そんな生活から、就活はどうやって入っていったんですか?
芦名:大学3年の終わりくらいに、周りがザワザワし始めて。「OBが説明会やってるから来いよ」って言われて、なんとなく会社説明会に行って。でも正直、就活の意味が全く分かんなかった。就活ガチ勢のチームメイトに「メーカーって何? 商社って何?」ってプレゼンしてもらっても、聞いててマジでピンとこない。「業界なんて言い方変えてるだけで、実は全部同じじゃない?」って思ってましたね。
しゅん:そこから、どうやって電通に絞っていったんですか?
芦名:「やりたくないこと」から消していったんですよ。まず日経新聞を毎朝読むのが絶対に嫌だった(笑)。「新聞読まないと仕事にならない」「資格必須」みたいな業界は全部ナシ。じゃあ、そのうえでどこ受けたら“すごい”って言われるの?って就活ガチ勢に聞いたら、電通・商社・ゴールドマン・デベロッパーとかが出てきて。「あ、じゃあそこでいいや」って感じで、結局6社くらいしか受けてないです。
芦名さんは「業界研究」を深掘りするより先に、「自分が絶対にやりたくないこと」をはっきりさせました。日経新聞を毎日読む・資格勉強が必須など、自分の価値観と合わない要素を先に除外したうえで、「その中で世間的に評価される場所」を目安に受ける会社を絞っています。「業界の違いが分からない」と悩む就活生は多いですが、完璧に理解しようとしても学生の時点では限界があります。だったらまずは「自分のNG条件を決める」「その条件を満たす中で、レベルの高い環境を選ぶ」と考えた方が動きやすくなります。
トピック2:自己分析・自己PRは「先輩を選ぶ」ところから始まる
自己分析のやり方は?
しゅん:自己PRとか自己分析って、最初はどうやって取り組まれたんですか?
芦名:いきなり「自己PRしてください」って言われても分かんないじゃないですか。だからまず「自己分析って何ですか? 自己PRって何話せばいいんですか?」を、先輩に死ぬほど聞きに行きました。ポイントは“誰に聞くか”。
ちゃんとした先輩って、基本話しかけづらいんですよ。寄せつけないオーラがあって、「この人に相談したら断られそう」みたいな人。そういう人ほど頭が良くて、ビジネスパーソンとしての戦闘力がある。一方で、目が合った瞬間に「教えてあげようか?」って来る人は、自己承認欲求を満たしたいだけのことが多い。
しゅん:たしかに、話しかけやすい先輩に行きがちですね…。
芦名:みんなそこでミスるんですよ。僕は話しかけづらいけど賢そうな先輩を見極めて、その人に「自分がやってきたこと」を全部話して、“当たり前じゃないポイント”を見つけてもらった。例えば、アメフト部のメンバー用の記念Tシャツを勝手に作ってみんなに売ってたとか、自分では普通だと思ってたけど「それ、普通じゃないから。ちゃんとPRした方がいいよ」とか言われて。
しゅん:それをまとめて、どう自己紹介してたんですか?
芦名:「僕は言葉と行動、論理と情を大事にしてチームを動かしてきました」っていう自己紹介をしてました。結果として何を達成したか、そのためにどんな戦略で動いたか。結果と戦略をセットで話すと、面接官はその理由やプロセスを聞いてくるから、そこからはこっちのフィールドなんですよ。4年間死ぬ気でやってきたことだから、いくらでも話せる。
自己分析は、ひとりで「うーん」と唸ってても深まりません。芦名さんは「先輩選び」から始め、話しかけづらいけれど実力のある先輩に、自分の過去の行動を全部話して“当たり前じゃないところ”を教えてもらいました。自分にとって普通のことほど、実は強いエピソードになりやすいです。また、自己PRでは「結果」と「戦略(どう工夫したか)」をセットで語るのがポイント。すると話題は自然と自分のフィールド(自分の経験・工夫)に移るので、面接官との会話も深くなります。
トピック3:面接の極意「相手のフィールドで戦わない」
企業分析はどれくらいやってた?
しゅん:面接対策で、企業ごとの対策ってどれくらいやってましたか?
芦名:正直、ほとんどやってないです。僕がやったのは「対策しないってことを、ちゃんと対策する」こと。どういうことかというと、会社のことなんて、どれだけ調べても100%は分からないじゃないですか。だから就活で一番やっちゃいけないのは、相手のフィールドの話をすることなんです。「御社の売上は〜だと思います」とか、「この市場環境が〜で…」とか、ほぼ当たらないし、相手の方が詳しいに決まってる。そこに踏み込んだ瞬間に負けるんですよ。
しゅん:じゃあ、何を話すのが正解なんですか?
芦名:自分のフィールドだけを話す。僕はどんな結果を出してきた人間で、その時どんな言葉と行動・論理と情でチームを動かしてきたのか。それをちゃんと伝える。そのうえで、「そんな僕がなぜ御社かというと、僕がこれまで成長してきた環境に御社が似ていると直感的に思ったからです」で終わり。
会社ごとに言うことを変えない。企業理念くらいは事前に調べてもいいけど、それ以上は正直分からないので、「直感として素敵だと思った」としか言えない。分からないことを分からないと言った方が、むしろ誠実だと思います。
しゅん:勝てる領域で戦うってことですね。
芦名:そう。就活は“自分という商品”の営業なんで、自分の土俵で戦った方がいい。「そんな人間、欲しいでしょ?」っていうところまで仕上げるのが大事。
就活で無理に「業界のプロ」っぽく振る舞う必要はありません。むしろ中途半端な業界トーク・数字トークは、相手の方が詳しい領域で戦うことになり、逆効果になりがちです。芦名さんは「会社のことは分からない」と割り切り、その代わりに「自分の経験・実績・工夫」を徹底的に言語化して、自分のフィールドだけで勝負しました。そして志望動機は「自分が成長してきた環境と似ていると感じた」というシンプルな軸に統一。就活では「企業を完璧に理解すること」よりも、「自分という商品をどれだけ魅力的に説明できるか」が勝敗を分けます。
トピック4:電通→フルコミ営業→起業 環境を選び、自分の才能を仕事にする
転職のきっかけは?
しゅん:電通からフルコミッションの営業に転職されたきっかけって何だったんですか?
芦名:1年半くらい経ったときに、人生で初めて自分のことを尊敬できなくなったんですよ。日中はサボって、残業時間をつけるためにダラダラ仕事して、残業代をもらって六本木に飲みに行く…。直行直帰も使い放題で、「うまくサボって給料をもらう俺、イケてるでしょ」みたいな自分が、本当に嫌になった。
しゅん:アメフトで本気でやってきた分、ギャップがきつかったんですね。
芦名:そう。合理的に考えれば考えるほど、人間として終わっていく感じがして。「ここにいたらダメだな」と思ってるタイミングで、プルデンシャルの人に会って、ちゃんと目を見て「おはようございます」って挨拶されたんですよ。周りの大人にそんな人がいなかったから、それだけで「この人たちと働きたい」と思って転職しました。
そこは完全フルコミッション。頑張ったら頑張った分だけ自分の評価になる世界。営業のやり方も、先輩の中で一番結果出してる人に「1から100まで全部教えてください」ってお願いして、全部パクりました。
しゅん:そこから起業に行くまでの流れはどうですか?
芦名:アメリカに俳優しに行ったり、ビザが落ちて無職になったり、貯金が減って「やべ、金なくなる」となってから本気で考えたのが起業ですね。フィリピン留学で英語と筋トレをやりながら、ビジネスのアイデアを練って、日本に帰ってきてスタートした。最初はジム事業で、営業組織を作って「ジムを売る営業マン」を育てて、1年で6店舗、その後11店舗くらいまで一気に増やしました。
芦名さんのキャリアは、一見すると「電通→保険営業→起業」とバラバラに見えますが、共通するのは「自分が尊敬できる環境を選ぶ」という基準です。大企業では「サボる自分」を嫌悪し、フルコミ営業では「成果がそのまま自分の評価になる」環境を選びました。また、営業で成果を出すときも、自己流ではなく「一番結果を出している先輩を徹底的に真似る」という戦略を徹底しています。起業も「立派な理念」からではなく、「お金がなくなるから、稼ぐ仕組みを作らないと」というリアルなきっかけからスタート。華やかな肩書きよりも、「自分が本気になれる環境かどうか」で選んでいくことが、結果的に大きな成果につながっています。
トピック5:「マニュアルで人を動かす才能」と、これからの生き方
リーダーシップがあるの?
しゅん:今は複数の事業をやられてますけど、人を束ねたり、育成したりするのが得意なんですか?
芦名:昔のアメフト部のキャプテンみたいに、「お前いくぞ!」ってフィジカルで引っ張る感じではもうないですね。今はどちらかというと“作家”に近い。やるべきことをめちゃくちゃ細かくマニュアルに書いて、「この通りにやってください」って渡す。現場でトラブルが起きたら、「マニュアルが悪い」と思ってそっちを直す。
しゅん:現場には、ほとんど出ないんですか?
芦名:基本、最初から「行かない」って決めてます。1店舗目から「これが100店舗のうちの1店舗」として仕組みを作らないと、絶対に広がらないから。社長が現場に立ってなんとかなるビジネスって、伸びしろが小さいと思っていて。だから社員とのコミュニケーションも、ほぼドキュメントだけです。
しゅん:自分の才能はどうやって見つけたんですか?
芦名:長所は、人と比べないと分からないんですよ。自分では当たり前にやってるけど、「え、それ普通そんな細かく決めないですよ」と言われるようなところ。そこが勝ちポイントになる。逆に短所は比べなくていい。「自分、時間にだらしないな」とか、みんな自分で分かってるから。
しゅん:今後は「会社を大きくする」というより、「表現者として自由に生きていく」が近いっておっしゃってましたよね。
芦名:そうですね。一番強いのは社会からの承認欲求。「あってよかった」と言われる考え方やサービスを作りたい。英語も、「アメリカ人を言葉だけでうならせる」くらいの表現をしたくて勉強してます。キリスト教100%みたいな宗教じゃなくて、「今の価値観に芦名教を10%混ぜる」みたいな、令和の宗教っぽいものを広げていきたい感覚です。
芦名さんは、自分の“人を動かす才能”を「マニュアル化する力」として捉えています。自分が最前線に立って頑張るのではなく、「誰がやっても成果が出るように仕組みを作る」ことに集中し、現場には基本出ません。その前提で事業を設計することで、多店舗展開や複数事業を回せる状態を作っています。また、自分の長所は「人と比べたときに“それ普通じゃないですよ”と言われる部分」から見つけるという考え方も特徴的です。今後は、事業を通じて“社会からの承認”を得られる価値をつくり、グローバルにも通用する表現者として生きていくビジョンを描いています。
✓業界研究で迷ったら、「やりたくないことを決めてから、残りの中でレベルの高い環境を選ぶ」と考える。
✓自己分析はひとりで悩むより、「話しかけづらいけど実力のある先輩」に全部話して“当たり前じゃない自分”を教えてもらう。
✓面接では企業のフィールドではなく、「結果」と「戦略」をセットにした自分のフィールドだけで戦う。
✓キャリア選びの軸は、「世間的に良さそうか」ではなく、「その環境の自分を尊敬できるかどうか」で考える。
✓長所は人と比べることでしか見つからない。短所は無理に比べず、まずは自分の強みを伸ばす。
