まずは「愛嬌」も「スマートさ」も、どっちも大事。
でも、どう出せば「バカっぽい」じゃなくて「この子できそう」に見えるのか…そこが一番悩みどころですよね。
今回の対談では、こなぎさんのリアルな悩みをもとに、トイさんが“好印象に見えるポイント”をかなり具体的に教えてくれました。
トピック1:愛嬌は“多すぎて損しない”
バカっぽいと言われた原因は愛嬌じゃない
トイ:改めまして、トイと申します。新卒でP&Gに入社して、その後LVMHに転職しました。今は独立して、就活の講師や企業のコンサルをしつつ、就活本も出しています。今日は「面接での印象」の話、がっつりやっていきましょう。
こなぎ:よろしくお願いします!さっそくなんですけど、先日の面接練習で「ちょっとバカっぽく見える」と言われてしまって…。
トイ:うわ、それは刺さるやつですね…。どんなフィードバックだったんですか?
こなぎ:結論から答えられていないことと、自分から数字を出せていないこと、具体性がないことを指摘されました。自分では「ニコニコしすぎたからかな?」と思っていて…。愛嬌が多すぎるとダメなのかなって。
トイ:まず、愛嬌が必要かどうかで言うと、絶対あったほうがいいです。あればあるほどいい。パフェの生クリームぐらいあっていいんですよ。生クリーム少ないと文句出ますけど、「多すぎ!」ってあんまり言われないじゃないですか。
こなぎ:たしかに、ニコニコしてるYouTuber見ても「バカっぽい」とまでは思わないですね…。
トイ:そうなんです。だから「愛嬌がありすぎて落ちた」は、だいたい自己分析ミスです。今回は、愛嬌が多すぎたというより、その下の“スマートさ”の部分が足りなかっただけですね。
面接で「バカっぽい」と言われたとき、多くの人が「笑いすぎたかな」「愛嬌出しすぎたかな」と自分の明るさを疑います。でも、トイさんの考えでは、愛嬌は多い分にはほぼノーリスクで、重要なのは“明るさの下にあるスマートさ”です。ニコニコしていること自体が減点になることはほとんどなく、「結論が遅い」「数字や具体性がない」など、話し方や内容の部分で「できなさそう」に見えているだけ。だから「笑うのを控えよう」と愛嬌を削るのではなく、「明るさはそのまま、話し方だけ賢そうに寄せていく」という発想に切り替えたほうが、印象は一気に良くなります。
トピック2:愛嬌と媚びはまったくの別物
小見出し:好かれる振る舞いと「引かれるアピール」の境界線
こなぎ:でも愛嬌を出そうとすると、「媚びてる」と思われないかもちょっと怖くて…。どこまでが愛嬌なんでしょうか?
トイ:いい質問です。たとえば、面接で「本当に貴重なフィードバックありがとうございます」とか、「御社のこういう点がすごく好きで…」と、ちゃんと感謝や好意を伝えるのは、全部“愛嬌”です。これは絶対やったほうがいい。
こなぎ:それなら自分でもできそうです。
トイ:逆に“媚び”は、「御社に入れるなら靴でも舐めます!」みたいなやつ。たとえるなら「絶対こなぎさんと付き合いたいから、月30万払います」って言われたらどうですか?
こなぎ:え、怖いです…(笑)。
トイ:ですよね。それが媚びです。相手が身構えるようなオーバーなへりくだりや、実態のないヨイショは、好印象じゃなくて警戒されます。一方で、面接官の話をちゃんと聞いて「さっきのこの話が勉強になったので、次の面接までにこう準備します」と返せるのは、いい見せ方の愛嬌。相手の話をちゃんと受け取って、感謝と前向きさを返せる人は、自然と愛嬌がある人に見えます。
「愛嬌を出したい」と思ったとき、多くの学生は“盛ったほうがいいのか”“ヨイショしたほうがいいのか”と考えがちですが、トイさんが言う愛嬌は、決してご機嫌取りではありません。相手の話をちゃんと聞き、「ここが勉強になりました」「次はこうします」と具体的に返すのが、仕事でも通用する愛嬌です。逆に、「御社のためなら何でもします」「本社の床でも掃除します」など、自分を安売りするような発言はただの媚びで、相手を不安にさせるだけ。愛嬌=相手への敬意と感謝が伝わる振る舞い、媚び=自己否定と過剰なへりくだり、と分けて考えると、面接での立ち振る舞いがかなり整理されます。
トピック3:「スマートさ」は頭の良さじゃない
小見出し:結論ファーストと“比較できる数字”で「できそう感」を出す
こなぎ:私が一番課題だなと思っているのが、この“スマートさ”なんです。見た目や話し方で、後からでもレベルアップできるものなんですか?
トイ:めちゃくちゃできます。スマートさって、学力テストの点じゃなくて「この人、仕事できそうだなっていう雰囲気」です。誰でもトレーニングで作れます。
こなぎ:どうやって作ればいいんでしょうか…。
トイ:まず一つ目は、結論ファーストと断定口調。たとえば「犬派ですか?猫派ですか?」って聞かれたら、「猫です」と即答する。逆に「たぶん猫かもしれません」とか「う〜ん…どっちも…」って曖昧にすると、一気に“できなさそう感”が出ちゃうんですよね。分からないなら「分かりません」と言い切った方が、むしろスマートです。
こなぎ:たしかに、曖昧なまましゃべると自分でもモヤっとしてました…。
トイ:二つ目が、数字を出すときは必ず「比較できる形」にすること。さっきこなぎさんが「5ヶ月で動画を30本作りました」と言ってくれましたよね。でも、それだけだとスマートさは出ないんです。
こなぎ:え、そうなんですか…。
トイ:たとえば「他のディレクターが月15本作るところ、私は月30本任されていました」と言えば、「2倍じゃん!」って一瞬で分かりますよね。あるいは「平均再生数の1.2倍の動画を出しました」でもいい。とにかく、相手が“どれぐらいすごいか”をイメージできるように、比較の数字をセットで出すのがスマートさです。
こなぎ:言われてみれば、数字は持ってたのに「なぜか言ってない」こと多いです…。
スマートさは、地頭の良さよりも「伝え方の設計」でだいぶ変わります。トイさんが強調していたのは、「結論から言い切ること」と「数字を比較で出すこと」。たとえばガクチカを話すときは、「学生時代に頑張ったのは、動画の平均再生数を1.2倍にしたことです」と最初に結論を置き、そのあとで「どんな環境で」「どう工夫して」その数字を出したのかを説明していく流れが理想です。また、「がんばりました」「徹底的に話し合いました」「チームを巻き込みました」といったフワッとした言葉は、具体的な行動に置き換える必要があります。「週3回、6時間の企画ミーティングを続けました」「1日50件、メンバーにLINEで意見を聞きました」のように、事実ベースで語ることで、スマートさは一気に増します。
トピック4:愛嬌とスマートさは“別軸”で考える
小見出し:業界ごとの重要度と、愛嬌がない人の戦い方
こなぎ:結論ファーストで数字もたくさん出したら、逆に冷たく見えたり、愛嬌がなくなっちゃったりしませんか?
トイ:ここ、すごく勘違いされやすいんですが、愛嬌とスマートさは完全に別軸です。冷たく見られている人は、賢すぎるんじゃなくて、単に愛嬌が足りないだけ。どっちもちゃんと鍛えればいいんです。
こなぎ:なるほど…。業界によって、どっちがより重視される、みたいなのはありますか?
トイ:あります。たとえば、商社や広告代理店、コンサルみたいに、クライアントワークがメインの仕事。自社でモノを作るというより、お客様の依頼を達成するタイプの業界は、愛嬌がものすごく大事です。厳しい提案――たとえば「再生のためにこれだけリストラが必要です」みたいな話をするとき、愛嬌ゼロで正論だけぶつけても通らないんですよ。
こなぎ:たしかに、それはキツいですね…。
トイ:一方で、コンサルの中でもリサーチ寄りの職種や、証券会社の一部みたいに、高度な数的知識や分析力が前提のポジションは、スマートさが最低ライン。ここはスマートさがないとそもそも戦えないので、無理に受けなくてもいいくらいです。
こなぎ:じゃあ、愛嬌があまりないタイプの人はどうしたらいいんでしょう。
トイ:むしろ正直に言っちゃえばいいです。「ご覧の通り、あまり愛嬌があるほうではないと思います。その代わり、愛嬌が求められる場面ではこうやって乗り切ってきました」と、自分の工夫をセットで話す。自分の短所を自覚していて、それでもどう戦うか考えている人は、むしろスマートだと思われます。
「愛嬌かスマートさか、どっちを優先すべきか」と悩む学生は多いですが、トイさんの答えは「どっちも別軸で上げる」が基本。特に、商社・広告代理店・コンサルなどのクライアントワーク系は、相手に厳しいことも伝える仕事だからこそ、「人から嫌われない愛嬌」が必須になります。一方で、戦略・金融・リサーチなど、専門性が強く問われる職種では、一定以上のスマートさが受験資格レベルで必要です。また、自分は愛嬌がないほうだと感じる人ほど、「ないのにあると言う」より「ないけれど、こう工夫してきました」と正直に語ったほうが、自己理解力と戦略性が伝わり、高評価につながります。
トピック5:聞く姿勢と話すスピードで印象は激変する
小見出し:相槌・口角・ゆっくり話すだけで「賢そう」に見える
こなぎ:さっきから“話し方”の話が出ていますけど、話していない時間の振る舞いも、印象に影響しますか?
トイ:めちゃくちゃ影響します。まず、相槌で「はぁ〜」「へぇ〜」みたいに“ハヒフヘホ”を多用するのはやめましょう。ちょっとアホっぽく見えます。「はい」「そうなんですね」とシンプルに言っておけば大丈夫です。
こなぎ:たしかに、動画のノリで面接でもオーバーに相槌打ってた気がします…。
トイ:あとは、口角。笑顔になるのは難しくても、口角を上げることは誰でもできます。面接官の話を聞いているときに、口がぽかんと開いている人、意外と多いんですよ。口角を上げることを意識すると、自然と口も閉じて、表情も明るくなります。
こなぎ:姿勢とかも見られてますよね。
トイ:もちろんです。足を斜めに組んで腕も組んで、「そういう感じなんだ?」って言ってきた学生さんは、さすがに強烈でしたね(笑)。あとは、動きや相槌の“速さ”も大事です。カクカク大きく頷くと、ちょっと幼く見えますが、動きをゆっくりにするだけで賢そうに見える。
こなぎ:話すスピードも…ですよね?
トイ:そう。話す速度は、思っている1.5倍くらい落としてちょうどいいです。さっき自己紹介してもらったとき、こなぎさんの中では「めちゃくちゃゆっくり話した」感じでしたよね?
こなぎ:はい、かなりゆっくりのつもりでした…。
トイ:それでも、ようやく標準スピードくらいでした。ドナルド・トランプぐらい遅くても、別にバカには見えません。むしろ“重みがある話し方”に聞こえます。家で自分の話している様子を動画で撮って、「あれ、早くない?」と思ったら、そこからさらに落としていくイメージで練習してみてください。
言葉の中身だけでなく、「どう聞き、どう話すか」が印象作りには直結します。相槌では「はぁ〜」「へぇ〜」といった間延びした音を避け、「はい」「そうなんですね」とシンプルに返すだけで、落ち着いた印象に変わります。また、常に口角を少し上げておくと、口が開いた“ぼんやり顔”を防げるだけでなく、「感じのいい人」という第一印象も狙えます。さらに、頷きや話すスピードを意識的に落とすことで、「余裕がある」「考えながら話している」というスマートさが自然とにじみます。これらはすべて、家で動画を撮ってセルフチェックできるポイントなので、本番前に一度は自分の姿勢・表情・スピードを確認しておくのがおすすめです。
✓今回の対談で一番大きなメッセージは、「愛嬌もスマートさも、生まれつきではなく技術として身につけられる」
✓ニコニコしているからバカっぽく見えるのではなく、結論が曖昧だったり、数字や事実を使って説明できていなかったりするだけ。
✓愛嬌は、相手への感謝や好意をちゃんと受け渡しする振る舞いであり、媚びとは全く違うもの
✓そしてスマートさは、結論ファースト・断定口調・比較できる数字・具体的な行動描写という4つの技術で、誰でも底上げできる。
